キャプション:日本の輸出者を支援する8社を、コンサルティング、ソフトウェア、検証の3つの種類に分けて示した図です。
掲載事業者の確認日:2026年10月12日。
特定の業務を依頼できる事業者をお探しですか? CBAMの相談フォームに内容を記入いただくと、cbamguide.comが条件に合う1社から3社に依頼を取り次ぎ、各社から直接連絡があります。依頼者に費用はかかりません。紹介を通じて顧客を獲得した事業者がcbamguide.comに紹介料を支払う場合がありますが、本ページへの掲載の有無や記載内容がそれによって決まることはありません。
日本の輸出者向けにEU炭素国境調整措置(CBAM、JETROや欧州委員会の和訳では「炭素国境調整メカニズム」)の支援サービスを自社サイトで公表している事業者は、2026年10月12日時点で8社です。内訳は、日本のコンサルティング会社2社、日本のソフトウェア企業2社、四大会計事務所系の1社、日本に拠点を持つ国際的な検証機関3社です。
根拠となる法令は「炭素国境調整メカニズム(CBAM)を規定する、2023年5月10日の欧州議会および理事会規則(EU)2023/956」です。CBAMは、規則(EU)2023/956に基づき、EUの輸入者に対し、輸入品の体化排出量に応じたCBAM証書の購入と納付を求める、EU ETSの価格に連動した証書制度です。本ページでは、各社の業務範囲、検証機関の認定の実態、日本の炭素価格の扱い、事業者の選び方を順に説明します。
日本の輸出者向けCBAM支援事業者の概要
2026年10月12日時点で、日本の輸出者に関係するCBAMサービスを公表している事業者は8社で、日本のコンサルティング会社2社、日本のソフトウェア企業2社、四大会計事務所のメンバーファーム1社、日本に拠点を持つ検証機関グループ3社です。
CBAMの影響は、ほぼ鉄鋼とアルミニウムに集中しています。EUが2025年に日本から輸入したCBAM対象製品(付属書Iのコード)は14億4,820万ユーロ、85万8,614トンで、うち鉄鋼が12億4,589万ユーロ(80万9,223トン)、アルミニウムが1億9,497万ユーロ(4万2,260トン)、セメントが480万ユーロ、肥料が254万ユーロです(ユーロスタット(Eurostat)Comext DS-045409、2025年(2026年10月12日抽出))。
2026年分のCBAM申告書の提出とCBAM証書の納付の期限は、2027年9月30日です(規則(EU)2023/956第6条第1項、第22条第1項)。法的な義務を負うのはEUの輸入者ですが、施設のデータを持っているのは日本の生産者です。このギャップを埋めるのが、本ページで紹介する事業者です。日本全体の状況はCBAMと日本にまとめています。
日本の輸出者にCBAMの支援が必要な理由
日本の生産者が施設単位の排出量データを提供できないと、EUの顧客はデフォルト値を使わざるを得ず、検証済みデータを示せる他国の供給者と比べて、日本製品の輸入コストが高くなります。
JETROは2026年9月18日の特集記事で、デフォルト値が法的には引き続き使えるにもかかわらず、EUの顧客が日本の供給者に実測値を求める例が多いと指摘しています。データを出せない供給者は、顧客にマークアップ付きのデフォルト値の使用を強いるか、調達先の切り替えを検討させることになります。
マークアップは2026年が10%、2027年が20%、2028年以降が30%(肥料は1%)です。デフォルト値にマークアップを上乗せして証書数を計算し、公式の四半期価格を掛けてコストを求めます。2026年第3四半期の価格は1 CO2換算トン当たり82.32ユーロで、2026年10月5日に公表されました。制度の全体像はEU CBAMの解説で説明しています。
次の表に、日本からEUへのCBAM部門別の輸出、検証済みデータがない場合に適用されるデフォルト値、そのデフォルト値で計算した2026年の証書コストをまとめました。デフォルト値の単位は、製品1トン当たりのtCO2e(CO2換算トン)です。
キャプション:日本からEUへのCBAM対象製品の輸出は、鉄鋼とアルミニウムがほとんどを占めます。
| 部門 | EUの輸入(2025年) | 日本のデフォルト値(マークアップ前) | 2026年の証書コスト(デフォルト値、製品1トン当たり) | 検証済みデータの効果 |
|---|---|---|---|---|
| 鉄鋼 | 80万9,223トン、12億4,589万ユーロ(第72類と第73類) | 半製品(CNコード 7207 11 11)と熱延鋼板(CNコード 7208)で2.100 tCO2e/t | 熱延鋼板(7208 51 20)80.20ユーロ、ボルト・ねじ(7318 15 42)144.07ユーロ | 最大。日本のデフォルト値より低い排出量の検証を受けた製鉄所は、マークアップ分と差額を顧客の証書数から取り除けます |
| アルミニウム | 4万2,260トン、1億9,497万ユーロ(うちアルミ塊は約214万ユーロ) | アルミ塊(CNコード 7601)0.360 tCO2e/t、板・帯(CNコード 7606)1.730 tCO2e/t | 板・帯(7606 12 99)144.78ユーロ | 比較的小さい。JETROは、デフォルト値がすでに低いため実測値で改善できる余地は限られると指摘しています |
| セメント | 5,701トン、480万ユーロ(クリンカーは1,590ユーロ、0.1トン) | ポルトランドセメント(白色以外、CNコード 2523 29 00)0.890 tCO2e/t | 27.14ユーロ | この数量ではわずか |
| 肥料 | 1,431トン、254万ユーロ | CNコードごとに設定、マークアップ1% | 製品により異なる | この数量ではわずか |
| 水素、電力 | 2025年の輸入なし | 該当なし | 該当なし | 該当なし |
貿易額と数量は、2025年にEU27が日本から輸入したCBAM対象製品(付属書Iのコード)の数値です(Eurostat Comext、2025年)。これは貿易統計で、CBAM申告書の数値ではありません。
デフォルト値は、マークアップ前の総排出量です。JETROの記事にも鉄鋼とアルミニウムの数値の表がありますが、当サイトは表のすべての値を、実施規則(EU)2025/2621付属書I(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)の日本の表で確認しました。証書コストは2026年11月4日に当サイトの計算ツールで計算し、2026年第3四半期の価格82.32ユーロを使っています。
熱延鋼板の計算は次のとおりです。2.100 × 1.10 = 2.310、無償割当調整 0.975 × 1.00 × 1.370 = 1.33575、差し引き製品1トン当たり0.97425枚のCBAM証書、2026年第3四半期の価格82.32ユーロで製品1トン当たり80.20ユーロです。CBAM係数97.5%は、無償割当のうち維持される割合です(指令2003/87/EC第10a条第1a項)。
ボルト・ねじ(CNコード 7318 15 42)の製品1トン当たり1.7501枚という結果は、経済産業省の「ねじ・ボルト等におけるEU-CBAM用算定ガイドライン 第3版」(2026年3月)の2026年の値(1.750)と一致します。貴社の製品とトン数に基づく推計はCBAM計算ツールで確認できます。規則(EU)2025/2621および2025/2620の公式デフォルト値とベンチマークに基づく推計です。拘束力のある数値は貴社のCBAM申告書に記載される数値です。
日本の鉄鋼のデフォルト値2.100は、同じ半製品の中国(3.169)やインド(4.270)のデフォルト値より低く、2026年のマークアップ10%を加えると製品1トン当たり2.310 tCO2eになります。これより低い排出量で検証を受けた製鉄所は、その差の分だけ顧客のコストを下げられます。データを出さない供給者にとってCBAMのデフォルト値が価格面の不利になるのは、このためです。
欧州委員会提案COM(2025)989による川下製品への対象拡大(提案、法律ではありません)が実現すれば、影響はさらに広がる可能性があります。JETROが紹介した電力中央研究所の分析では、現在のCBAM対象製品は日本の対EU輸出の2.9%、提案された追加品目は5.0%です。拡大案の状況は川下製品への対象拡大で説明しています。
日本国内の炭素価格で、このコストを相殺することはまだできません。排出量取引制度(GX-ETS)は、2026年度(2026年4月から2027年3月)から、直接排出量が前3年度平均で10万トン以上の事業者に義務化されています(対象基準は経済産業省「排出量取引制度」による)。この制度の設計を検討してきた経済産業省は、日本の輸出者向けにCBAM関連の資料も公表しています。
コンサルタントとは別に、日本では次の2つの公的機関がCBAMに関する情報を無料で提供しています。
- 経済産業省:ねじ・ボルト等のCBAM算定ガイドライン(改訂版)を公表し、EU域外の施設事業者向けの欧州委員会ガイダンスの日本語版へのリンクを掲載し、CBAMへの対応に関する委員会を運営しています。出典:経済産業省「炭素国境調整措置」(最終更新2026年6月1日)。
- JETRO:無料の貿易投資相談の窓口を設け、CBAMの排出量の算定実務マニュアル(2026年3月)と簡素化規則の解説(2026年2月)を公表しています。出典:JETRO「EUのエネルギー・環境」。
経済産業省のCBAMのページのうち簡素化の部分は、2025年2月の法案段階の内容で、採択された規則(EU)2025/2083(CBAM簡素化規則)とは数値が異なります。2026年11月4日時点で、日本の輸出者向けのCBAM専用の補助金は、経済産業省とJETROの資料には見当たりません。
日本でCBAM支援を提供する事業者
掲載基準を満たした事業者は8社で、日本に拠点を置く4社(コンサルティング会社2社とソフトウェア企業2社)、国際的なアドバイザリー企業1社、日本に拠点を持つ検証機関グループ3社です。
掲載するのは、自社のウェブサイトでCBAMのサービスを公表し、そのサービスを日本の輸出者が利用でき、当サイトが2026年10月12日にそのページを確認できた事業者だけです。掲載は編集部の判断によるもので、無償です。掲載、掲載順、記載内容の対価として費用を受け取ることはなく、掲載は推薦や品質の評価を意味するものでもありません。「言語」の列は、確認したページの言語です。
日本に拠点を置くコンサルティング会社とソフトウェア企業
日本の4社のうち2社はコンサルティングを、2社はソフトウェアを提供しています。ソフトウェアの2社は、確認したページがツールを説明しており助言業務の記載がないため、コンサルタントではなくソフトウェアとして掲載しています。
| 事業者 | 種類 | 対象部門 | 言語 | EUの輸入者も対象か | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| 株式会社ゼロック(ZEROC、東京) | コンサルティング(ライフサイクルアセスメント)。サプライチェーンを通じたCBAM対応の支援実績を掲げ、助言と支援を提供 | 鉄鋼・アルミ製品メーカー、商社、EU子会社を持つ企業(同社サイトで告知された2026年5月26日のセミナーの対象) | 日本語 | 記載なし | zeroc.co.jp/column/about-cbam/ |
| NTTデータ(NTT DATA) | ITサービスグループのコンサルティング部門。2024年11月27日付の事例記事で、排出量の算定とEUのコミュニケーションテンプレートを扱うCBAMコンサルティングを紹介。問い合わせ先の記載あり、その後のサービス内容の変更に関する記載なし | 事例の顧客は水道・ガス配管の継手メーカー | 日本語 | 記載なし | nttdata.com/jp/ja/trends/data-insight/blog/c-turtle/2024/1127/ |
| アスエネ株式会社(ASUENE Inc.、東京) | ソフトウェア(炭素会計)。2026年9月30日に「ASUENE LCA」のCBAMデータ管理機能を発表。発表はEUのコミュニケーションテンプレートに言及。本格実施期間には、これに代わって事業者の排出量報告書とそのサマリーを使用 | 自動車部品を含む鉄鋼・アルミ製品と部品 | 英語 | 記載なし | asuene.com/apac/news/asuene-launches-cbam-data-management-feature-in-asuene-lca |
| Booost株式会社(Booost, Inc.、東京) | ソフトウェア(サステナビリティ)。「booost CBAM」で、EUと英国の要件に合わせて製品と施設ごとの排出量を管理 | 特定の部門に限定せず | 日本語 | 記載なし | booost-ai.com/cbam/ |
日本に拠点を持つ国際的なアドバイザリー企業
国際的なアドバイザリー企業で基準を満たしたのは1社です。ほかの大手企業が掲載されていないのは、確認日に日本語のページを取得できなかったためで、CBAMのサービスの有無を示すものではありません。
| 事業者 | 種類 | 対象部門 | 言語 | EUの輸入者も対象か | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| EY Japan(EY税理士法人、間接税部門) | 四大会計事務所のメンバーファーム。ワークショップ、HSコードによる対象製品の特定、コスト分析、報告の支援、輸入者の登録。ページの説明は移行期間の報告書のまま | 特定の部門に限定せず、EUと英国 | 日本語 | 対象 | ey.com/ja_jp/services/climate-change-sustainability-services/advisory-and-compliance-support-services-for-the-carbon-border-adjustment-mechanism |
日本で活動する検証機関
2026年10月23日時点で欧州委員会の認定検証機関の公式リストは未公表で、国家認定機関による5件のCBAM認定(2026年10月13日時点)に、日本に設立された検証機関は含まれていません。
国際的な検証機関グループのうち3社が、日本語のサイトでCBAMのサービスを公表しています。
| 事業者 | 種類 | 対象部門 | 言語 | EUの輸入者も対象か | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|
| ビューローベリタスジャパン株式会社(Bureau Veritas Japan Co., Ltd.) | 検証機関グループ。この法人のCBAMの認定は確認されていません。対象範囲の確認、CNコードの確認、算定方法、データ収集体制の構築、第三者検証に向けたギャップ分析 | 6つのCBAM部門を明記し、鉄鋼製品としてボルト、ナット、ねじを例示 | 日本語 | 対象 | bureauveritas.jp/certification/cbam-verification |
| SGSジャパン(SGS Japan) | 検証機関グループ。この法人のCBAMの認定は確認されていません。CBAMの事前検証(認定を受けない独立したサービスと説明)と研修 | 6つのCBAM部門 | 日本語 | 対象 | sgs.com/ja-jp/services/carbon-border-adjustment-mechanism-cbam-services |
| LRQAジャパン(LRQA Japan) | 保証サービスのグループ。この法人のCBAMの認定は確認されていません。準備状況の評価、事前検証、検証、研修 | 6つのCBAM部門を記載 | 日本語 | 対象 | lrqa.com/ja-jp/carbon-border-adjustment-mechanism-cbam/ |
3社のうち2社は、イタリアに認定を受けた法人を持っています。イタリアの国家認定機関Accrediaは2026年10月6日、Bureau Veritas Italia S.p.A.とSGS ICS Italia S.r.l.をCBAM検証機関として公表しました。Bureau Veritasの日本語サイトには、CBAM検証の「グローバルな認定」を告げる2026年10月5日付の記事がありますが、認定機関も法人も示していません。
同社の日本語のCBAMサービスのページは、2026年10月12日時点でも、フランスのビューローベリタスが検証機関として申請中であり、サービスの詳細は追って案内すると説明していました。
SGSは2026年10月6日、イタリアの国家認定機関Accrediaから自社がCBAM検証機関として認定されたと発表しましたが、ここでも法人名は示していません(Accrediaの登録簿に記載されているのはSGS ICS Italia S.r.l.です)。同社の日本語のCBAMのページは、2026年10月12日時点でも認定を今後の予定として説明していました。LRQAの日本語のページは、サービスの一つに認定検証を挙げていますが、保有する認定、認定機関、日付を示していません。
認定を受けた2つの法人は、いずれも日本に設立された法人ではありません。欧州委員会の検証のページは、2026年10月13日時点でも認定検証機関のリストについて「will be published on this page」(このページで公表予定、当サイト仮訳)としていました。検証報告書に署名する法人を確認し、その認定範囲を国家認定機関で確かめてください。
認定範囲は法人ごとに異なります。SGS ICS Italia S.r.l.の認定範囲には、粗鋼とその前駆体、アルミ塊、硝酸の活動グループが含まれていません。日本から輸出される半製品(CNコード 7207)やアルミ塊(CNコード 7601)の検証を依頼する前に、認定範囲の付属書を確認してください。5件の認定の一覧はCBAM認定検証機関にまとめています。
JETROは2026年10月27日の記事で、日本でCBAM関連サービスを提供する国際的な検証機関6社を紹介し、各社が認定の取得に向けた申請を進めていると報じています。同じ記事は、Bureau VeritasとSGSが認定を取得したとグループ名で紹介していますが、国家認定機関の文書で認定されたのはイタリアの法人で、グループ全体や日本の拠点ではありません。
同じ記事によると、紹介された6社のうち5社はGXリーグの登録検証機関でもあります。GXリーグの登録検証機関とGX-ETSの登録確認機関は国内制度の役割であり、CBAMの検証資格ではありません。CBAM検証機関を認定できるのはEU加盟国の国家認定機関だけで、日本の検証機関は、域外からの申請を受け付ける7つの国家認定機関のいずれかに申請します。
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CBAMコンサルタントが日本の輸出者のために行う業務
CBAMコンサルタントは、日本の工場の生産記録を、EUの輸入者が申告に使える施設単位の排出量の数値に変換し、検証と将来の炭素価格の控除に備えた証拠書類を整えます。
施設単位の排出量データ
EUの輸入者が施設ごとに求めるデータは、事業者の排出量報告書のサマリーの16項目で(実施規則(EU)2025/2547付属書IV第1.2項)、2026年8月14日のガイダンス第3号による3文書の構成で英語により提供します。16項目は次の5つの分類にまとめられ、支払った炭素価格の証拠は6番目の任意のファイルになります。
- 施設の識別情報:事業者名、施設名と所在地、小数点以下6桁の地理座標など
- 生産と活動量のデータ:製品ごとの生産量と生産ルート
- 直接排出量:製品1トン当たりの特定直接体化排出量
- 間接排出量:施設の電力消費による排出量
- 前駆体のデータ:購入または自社生産した前駆体の体化排出量
項目ごとの一覧はCBAMのデータ要件にあります。移行期間中に使われていた任意様式のコミュニケーションテンプレートは、この構成に置き換えられました。
日本の輸出者にとって難しいのは、購入した前駆体のデータと機密保持です。JETROは、工程データから生産効率やコスト構造が分かってしまうという供給者の懸念を紹介しています。どのツールを使っても、出力は事業者の排出量報告書とその16項目のサマリーに合致していなければなりません。Booostは、機密情報を各社のアプリケーション内に保持し、データ連携基盤では識別子のみを管理する設計を説明しています。
日本の生産者にCBAMの法的な義務はありませんが、CBAM登録簿内の事業者用ポータル(O3CI)に施設を登録し、検証済みのデータを提供することはできます。登録した施設のデータは、検証を受けた後、その製品を輸入するすべてのEUの輸入者と共有できます。手順は事業者用ポータル(O3CI)で説明しています。
第9条に基づく炭素価格の控除
2026年11月4日時点で、日本の炭素価格はEU CBAMの第9条で認められておらず、控除の実施規則も案の段階です。
第三国で支払われた炭素価格の控除(第9条)に関する実施規則案は2026年5月13日に公表され、意見募集は2026年6月10日に締め切られましたが、2026年11月4日時点で未採択です。GX-ETSを含め、どの第三国の炭素価格もまだ正式に認められていません。
日本の主な炭素価格制度と、コンサルタントが記録を整えるべき点は次の表のとおりです。
| 制度 | 対象と価格 | 状況(2026年11月4日) | CBAMとの関係 |
|---|---|---|---|
| 地球温暖化対策のための税(温対税) | 化石燃料全般、CO2 1トン当たり289円(環境省) | 2016年4月1日に最終税率 | 鉄鋼、コークス、セメント製造用の輸入特定石炭は免税(経済産業省の令和9年度税制改正要望)。上流で課され燃料価格に転嫁される税を施設の事業者が支払ったとみなすかは未解決 |
| 排出量取引制度(GX-ETS) | 直接排出量が前3年度平均で10万トン以上の事業者(経済産業省) | 2026年度から義務化 | ICAPによると、排出枠はベンチマーク方式とグランドファザリング方式で無償割当。無償割当分は、実際に支払われた炭素価格には当たりません |
| 化石燃料賦課金 | 化石燃料の輸入者などにCO2量に応じて課金(JETRO) | 2028年度から、未施行 | 2026年と2027年の輸入については何も請求できません |
実施規則案では、控除は実際に支払われた炭素価格だけを反映し、その証拠として、認定を受けた独立した認証者が証明する炭素価格報告書が必要になります。この認証者は、CBAMの検証機関とは別の役割です。欧州委員会の日本語ガイダンスは「排出量取引制度の場合、無償割当はリベートとみなされる」と説明し、JETROも無償割当の扱いを未解決の論点に挙げています。
このほか、日本の年度(4月から3月)をCBAMの暦年にどう対応させるか、GX-ETSで2026年度の排出分に排出枠を充てる期限がいつになるかも、まだ答えが出ていません。それまでのコンサルタントの役割は記録の整備です。排出枠の購入、受け取った無償割当、登録簿の取引明細を保管し、規則が採択されたときにCBAMの炭素価格控除を請求できるようにします。証拠書類は、申告書を提出した年(または提出すべきであった年)の後4年目の終わりまで保存します(第9条第3項)。
英国が先に動きました。英国歳入関税庁(HMRC)が2026年8月27日に公表した、英国CBAMの適格炭素価格制度(QCPS)の暫定リストには、日本のGX-ETSが含まれています。同じ文書は、無償割当でカバーされる排出量は炭素価格軽減措置の対象外としています。これは英国の税制度の判断で、EU CBAMの扱いとは別です。
日本でCBAMコンサルタントを選ぶ方法
事業者は知名度ではなく、貴社の部門で施設単位のCBAM業務を手がけた実績で選び、助言の依頼先よりも先に検証の依頼先を決めてください。
次の6つの手順は、本ページの事業者にも、CBAMコンサルタント一覧(英語)に掲載している事業者にも当てはまります。
- EUに出荷しているすべてのCNコードと施設を洗い出し、各顧客に、CBAM対象製品を年間50トンを超えて輸入しているかを確認します。電力と水素を除き、輸入者ごとに暦年の累積正味重量が50トン以下であれば義務が免除されます(第2a条、付属書VII第1項)。
- 製品ごとに、デフォルト値と実測値のどちらを使うかを決めます。JETROが指摘するとおり、日本のアルミニウムは鉄鋼に比べて、実測値によってデフォルト値から改善できる余地が小さくなっています。
- 貴社の生産ルートに即した施設単位の計算例を提示してもらいます。生産ルートはCBAM鉄鋼部門ガイドで説明しています。
- 機密保持と言語の条件を書面で決めます。誰が工程データを見るのか、EUの検証機関向けに証拠書類を誰が翻訳するのかを明確にします。
- 助言と検証を分けます。検証機関グループには、助言担当者と検証担当者をどのように分けているかを確認します。
- 認定の主張(国家認定機関、法人、活動グループ)を、当サイトのCBAM認定検証機関の一覧で確認します。
本ページの事業者で、CBAMの助言業務の料金を公表している事業者はありません。費用を左右するのは、施設と生産ルートの数、購入した前駆体、証拠書類の翻訳、そして初回の検証の年に実施規則(EU)2025/2546第2条から第4条が求める現地訪問の移動費です。検証費用について、検証サービス各社は施設1か所当たり5,000ユーロから5万ユーロを提示しています。これは市場推計で、欧州委員会の数値ではありません。
契約前に確認すべき質問
次の4つの質問で、事業者のCBAMの実力を1回の打ち合わせで確かめられます。
- 本格実施期間の方法論で、どのCNコードと生産ルートの計算を行ったことがありますか。
- 施設ごとに事業者の排出量報告書とそのサマリーを作成しますか。
- どの検証機関と組んでいますか。現地訪問の費用は誰が負担しますか。
- 将来の第9条に基づく炭素価格の控除請求に備えて、どのような記録を保管しますか。
コンサルタントがEUの顧客に代わってできないこと
納付しなかったCBAM証書1枚につき、EU ETSの超過排出罰金(インフレ調整前で1トン当たり100ユーロ、欧州消費者物価指数で調整)と同額の罰金が科されます(規則(EU)2023/956第26条第1項)。罰金を支払っても証書の納付義務は残り(第26条第3項)、この責任はEU内にとどまります。
認可を受け、申告書を提出し、証書を購入するのは、貴社の顧客またはその間接的通関代理人です。日本のコンサルタントの役割は、その申告を裏付けるデータを正確で検証可能なものにすることです。申告者の責任を引き受けることはできず、どのような契約を結んでも、法定の罰金を日本の生産者に移すことはできません。契約で調整できるのは価格です。データの品質が輸出者のCBAM戦略の一部になるのは、このためです。
日本のCBAMコンサルタントに関するよくある質問
ここでは、炭素価格、検証、申告、顧客の要求、日本の検証制度との違い、無料の支援について、6つの質問に回答します。
日本には、CBAMのコストを減らす国内の炭素価格がありますか
まだありません。日本には、2026年度から義務化された排出量取引制度(GX-ETS)と、環境省がCO2 1トン当たり289円の負担と定める地球温暖化対策のための税があります。2026年11月4日時点で、EUはどの第三国の炭素価格も正式に認めておらず、第9条の実施規則は案の段階のため、日本製品について控除は請求できません。
日本の生産者は排出量の検証を受ける必要がありますか
実測値で申告する場合だけです。デフォルト値での申告に検証は不要です(規則(EU)2023/956第8条第1項)。実排出量で申告するには認定を受けたCBAM検証機関による検証が必要で、初年度には現地訪問が求められます。国家認定機関による5件のCBAM認定(2026年10月13日時点)に、日本に設立された機関は含まれていません。検証の流れは輸出者のためのCBAM検証で説明しています。
日本のコンサルタントはCBAM申告書を提出できますか
できません。申告書を提出できるのは認可CBAM申告者(第3条第17号)だけで、EUの輸入者またはその間接的通関代理人です。日本のコンサルタントは、申告者が依拠する施設のデータを準備します。
EUの顧客は日本の供給者に何を求めますか
EUの顧客は、本格実施期間に必要な事業者の排出量報告書のサマリーで、製品ごと、施設ごとの体化排出量を求めます。内容は、施設の識別情報、生産データ、直接排出量と間接排出量、前駆体の排出量、支払った炭素価格(該当する場合)です。このような依頼に含まれる項目は、当サイトの供給者データ依頼ツール(英語)で確認できます。
GXリーグやGX-ETSの検証機関はCBAMの検証ができますか
それだけではできません。GXリーグの登録検証機関とGX-ETSの登録確認機関は日本の国内制度の役割です。CBAMの検証機関は、委任規則(EU)2025/2551に基づきEU加盟国の国家認定機関が認定した法人で、認定された活動グループの範囲でのみ検証できます。
日本で無料のCBAM支援はありますか
あります。JETROは無料の貿易投資相談の窓口を設け、CBAMの排出量の算定実務マニュアル(2026年3月)を公表しています。
経済産業省は、ねじ・ボルト等の算定ガイドラインを公表し、EU域外の施設事業者向けの欧州委員会ガイダンスの日本語版へのリンクを掲載しています。どちらの機関も、企業の排出量データを作成することはありません。事業者の紹介はCBAMコンサルタントの相談フォームから無料で依頼できます。