
規則(EU)2025/2083(CBAM簡素化規則)は、2025年10月20日に発効し、EU炭素国境調整措置(CBAM、JETROや欧州委員会の和訳では「炭素国境調整メカニズム」)の7つの項目を改正しました。年次のCBAM申告書の提出期限、CBAM証書の販売開始日、少額輸入の免除基準、四半期末の証書保有義務、買い戻しの上限、2つの罰金規定が対象です。
改正の対象は「炭素国境調整メカニズム(CBAM)を規定する、2023年5月10日の欧州議会および理事会規則(EU)2023/956」で、本格実施期間が始まる前に改正されました。改正前の数値(申告期限5月31日、1回の輸入当たり150ユーロの免除基準など)を前提に立てた計画は、すべて見直す必要があります。
日本の輸出者はCBAMの法的義務を負いませんが、EUの買い手が守るべき期限や数値はこの改正で変わりました。EUが2025年に日本から輸入したCBAM対象製品(付属書Iのコード)は14億4,820万ユーロ、85万8,614トンで、金額ベースでその約86%を鉄鋼が占めます(ユーロスタット(Eurostat)Comext DS-045409、2025年(2026年10月12日抽出))。
このページでは、7つの変更点を改正前と改正後の数値と条文番号で示し、日本産の熱延鋼板を例に、2027年の四半期末の保有量と罰金の規模を計算します。
CBAM簡素化規則(規則(EU)2025/2083)とは
規則(EU)2025/2083は、規則(EU)2023/956を改正する2025年10月8日付の規則で、2025年10月17日にEU官報に掲載され、掲載の3日後の2025年10月20日に発効しました(第2条)。
目的は簡素化です。CBAMの環境面での効果を維持しつつ、EUの輸入者、特に中小規模の輸入者の負担を軽減することを狙っています。英語圏では「CBAMオムニバス」とも呼ばれ、経済産業省は2025年2月の提案段階で「CBAM簡素化法案」と表記していました。採択後の正式な番号は規則(EU)2025/2083です。
簡素化規則は、CBAMの対象部門、法的根拠(EU機能条約第192条第1項)、制度の性格を変えていません。CBAMは、規則(EU)2023/956に基づき、EUの輸入者に対し、輸入品の体化排出量に応じたCBAM証書の購入と納付を求める、EU ETSの価格に連動した証書制度です。対象は鉄鋼、セメント、アルミニウム、肥料、電力、水素の6部門のままです。
変わったのは運用上の数値です。申告と証書購入の日程、義務が生じる数量の基準、違反に対する罰金が改正されました。制度全体の仕組みはEU CBAMの基本ガイドで説明しています。
規則(EU)2025/2083による7つの変更点と、改正された条文は次の表のとおりです。
| 項目 | 改正前(規則(EU)2023/956の当初規定) | 改正後 | 改正された条文 |
|---|---|---|---|
| 年次の申告期限 | 5月31日 | 9月30日 | 第6条第1項 |
| CBAM証書の販売開始 | 2026年1月1日 | 2027年2月1日 | 第20条第1項 |
| 少額輸入の免除基準 | 1回の輸入当たり150ユーロ | 輸入者ごと、暦年ごとに正味重量50トン | 第2a条、付属書VII |
| 四半期末の証書保有義務 | デフォルト値で算定した体化排出量の80% | 2027年から50%。マークアップなしのデフォルト値または前年の納付実績で算定し、無償割当調整を考慮 | 第22条第2項 |
| 買い戻しの上限 | 前暦年に購入した証書の3分の1 | 購入した暦年に第22条第2項に基づき購入義務があった証書数 | 第23条第2項 |
| 罰金(認可CBAM申告者) | 納付しなかった証書1枚につきEU ETSの超過排出罰金と同額、減額規定なし | 同じ罰金(インフレ調整前で1トン当たり100ユーロ)。第三者が誤った情報を提供した場合は減額可能 | 第26条第1項、第1a項 |
| 罰金(50トンを超えた認可のない輸入者) | 個別の規定なし | 第26条第1項の罰金の3倍から5倍を、その年のすべての排出量に適用。支払えば申告と納付の義務から解放 | 第26条第2a項 |
キャプション:規則(EU)2025/2083は、2025年10月20日からCBAMの7項目を改正しました。規則(EU)2023/956の当初の数値は適用されなくなりました。
規則(EU)2025/2083による7つの変更点
規則(EU)2025/2083の7つの変更点は、日程の変更(変更1と2)、基準の変更(変更3と4)、金銭面の変更(変更5、6、7)の3つに分けられます。
以下、それぞれの変更を条文番号とともに順に説明します。日本の輸出者に関係する点は、各項の最後に示します。
変更1:申告期限が5月31日から9月30日に
年次のCBAM申告書の提出期限は、輸入した年の翌年9月30日です(規則(EU)2023/956第6条第1項、規則(EU)2025/2083による改正後)。 改正前の期限は翌年5月31日でした。
最初の期限は2027年9月30日で、2026暦年の輸入分が対象です。以後も毎年9月30日が期限です。2025年10月より前に公表された資料で5月31日とされている期限は、改正前の規則に基づくもので、現在は適用されません。JETROの「EU炭素国境調整メカニズム(CBAM)の解説(基礎編)」(2024年2月)もこれに当たります。
期限が4か月延びたことで、申告の日程は、同じ簡素化規則で設けられた検証機関の登録(2026年9月1日開始、第10a条第1項)と整合しました。EU域外の施設から調達する輸入者は、2026年9月1日から2027年9月30日までの13か月の間に、検証済みの体化排出量データを入手できます。
日本の施設事業者にとって、この13か月は検証済みデータを準備する期間でもあります。施設が初めて検証を受ける年には現地訪問が必要です(実施規則(EU)2025/2546第2条)。2026年10月23日時点で欧州委員会の認定検証機関リストは未公表で、国家認定機関の登録簿で確認できる5件の認定に日本の法人は含まれません(CBAM認定検証機関)。
変更2:CBAM証書の販売開始が2026年1月1日から2027年2月1日に
CBAM証書の販売は2027年2月1日に始まります(第20条第1項、規則(EU)2025/2083による改正後)。 当初の規則(EU)2023/956は、本格実施期間の開始と同じ2026年1月1日を販売開始日としていました。
CBAM証書は、輸入品に体化された1 CO2換算トンに相当する電子的な証書です。欧州委員会税制・関税同盟総局(DG TAXUD)が運用するCBAM登録簿で管理され、設立地の加盟国が共通中央プラットフォームで販売します。
共通中央プラットフォームについては、すでに入札手続きが完了しています。EUは2026年2月11日に官報で入札を公告し、入札は2026年4月6日に締め切られました。2026年7月8日の落札公告(TED 468943-2026)によると、受注者はギリシャのEuropean Dynamics SAで、2026年6月26日に選定され、2026年6月30日に上限583万ユーロの枠組み契約が結ばれました。
2026年10月12日時点で、締結された契約のもとでの試験運用版の稼働日は公表されておらず、販売開始は引き続き2027年2月1日の予定です。販売と買い戻しの手続きを定める委任規則案(第20条第6項)への意見募集は2026年7月9日から8月6日まで行われ、93件の意見が寄せられました。採択は2026年第4四半期の予定ですが、2026年11月4日時点で欧州委員会のCBAM法令ページに掲載された委任規則は委任規則(EU)2025/2551だけで、この委任規則案は未採択です。
2026年の輸入については、輸入した年のうちに証書を購入する必要はなく、変更4の四半期末の証書保有義務も適用されません。輸入者は2027年2月1日から証書を購入し、2027年9月30日までに、無償割当調整と第9条の減額を反映した2026年分の体化排出量に相当する数の証書を納付します。
簡素化規則は、初年度の価格の決め方も定めました。第21条第1a項により、2026年分の証書には、輸入した四半期のEU ETSの排出枠のオークション終値の四半期平均が適用されます。2026年第1四半期は75.36ユーロ、第2四半期は75.28ユーロ、第3四半期は82.32ユーロ(2026年10月5日公表)で、第4四半期の価格は2027年1月4日に公表されます。2027年以降の輸入には週次平均が適用されます(第21条第1項)。
2026年第3四半期の公式価格(82.32ユーロ)で計算すると、日本産の熱延鋼板(CNコード 7208 51 20)を2026年にデフォルト値で輸入した場合のコストは製品1トン当たり80.20ユーロです(日本の鉄鋼輸出とEU CBAM)。証書の購入から納付までの手続きはCBAM証書で説明しています。
変更3:免除基準が1回の輸入当たり150ユーロから輸入者ごとの年間50トンに
少額輸入の免除基準は、輸入者ごと、暦年ごとに正味重量50トンです(第2a条、規則(EU)2025/2083により挿入。50トンの数値は付属書VII第1項)。 当初の規則(EU)2023/956の基準は、1回の輸入当たり150ユーロという税関上の価額の基準でした。
50トン基準は、1つの法人が1年間に輸入したすべてのCBAM対象製品の合計で判定します。同じ暦年に鉄鋼製品30トンとセメント製品25トンを輸入した輸入者は、合計55トンで基準を超え、その年のすべての輸入に義務が生じます(第2a条第2項)。電力と水素には基準が適用されません(第2a条第4項)。免除を利用する輸入者は、税関申告で免除を申告する必要があります(第2a条第1項)。
基準が1回の輸入の価額から年間の重量に変わったことで、計画の立て方は大きく変わりました。150ユーロの基準では、大口の出荷を小口に分けて基準を下回ることが理論上は可能でした。年間の合計で判定する現在の方式ではこの手法は使えず、人為的な分割は無視されたうえで重大な違反とみなされます(第25a条)。
欧州委員会は毎年4月30日までに、基準で免除される体化排出量が1%以下かどうかを評価します(第2a条第3項、付属書VII第2項)。2026年9月30日に公表された初回の評価では、免除された排出量は0.87%で、基準は据え置かれました。次の評価は2027年4月30日が期限です。JETROは2026年9月18日の記事で、この基準により約9割の輸入者が対象外となり、体化排出量の約99%は引き続き対象になると説明しています。
日本の輸出者にとって重要なのは、基準が輸出者ではなく輸入者単位で判定される点です。貴社の出荷量が少なくても、EUの買い手の年間合計が50トンを超えれば、貴社の製品も義務の対象になります。50トンが金額でどの程度になるかは、製品の単価で大きく異なります。
日本からの主な製品について、2025年の平均単価で50トンを金額に換算すると次のとおりです(Eurostat Comext、2025年の金額÷数量で当サイトが計算。個別の取引価格ではありません)。
| CNコード(4桁) | 製品 | 日本からの2025年の平均単価 | 50トンの金額換算 |
|---|---|---|---|
| 7208 | 熱延鋼板(非合金鋼、幅600mm以上) | 1トン当たり約625ユーロ | 約3万1,000ユーロ |
| 7318 | ねじ、ボルト、ナット類 | 1トン当たり約8,351ユーロ | 約41万8,000ユーロ |
| 7220 | ステンレス鋼の圧延鋼板(幅600mm未満) | 1トン当たり約2万1,174ユーロ | 約105万9,000ユーロ |
単価の高い日本製品では、年間50トンでも金額は大きくなります。ステンレス鋼の細幅帯鋼であれば、約100万ユーロ分の輸入まで基準内に収まる計算です。それでも、買い手が他の供給者からもCBAM対象製品を輸入していれば、合計で基準を超えることがあります。品目の範囲はCBAM対象製品リストで確認できます。
変更4:四半期末の証書保有義務が80%から50%に
四半期末の証書保有義務は、2027年から、その暦年の初めから輸入したCBAM対象製品の体化排出量の50%以上です(第22条第2項、規則(EU)2025/2083による改正後)。 改正前の規則は、デフォルト値で算定した体化排出量の80%を求めていました。
保有量は各四半期末(3月31日、6月30日、9月30日、12月31日)に確認されます。体化排出量の算定基準は2つあります。(a)マークアップなしのデフォルト値、または(b)税関申告がCNコードと原産国で同じ製品を対象とする場合の前暦年の納付実績です。どちらの基準でも第31条の無償割当調整が考慮されます。最初の確認日は2027年3月31日で、2027年1月1日以降の輸入が対象です。2026年の輸入には保有義務はありません。
80%から50%への引き下げで、年間に拘束される運転資金は減りました。さらに、基準(a)がデフォルト値のマークアップを除くこと、無償割当調整が考慮されることで、必要な保有量は一段と小さくなります。不足があれば通知を受け、1か月以内に口座を補充します(第22条第3項)。トン当たりの罰金はありませんが、重大な違反や違反の繰り返しは認可の取り消し事由になります(第17条第8項)。
日本産の熱延鋼板(CNコード 7208 51 20)を2027年に毎四半期250トンずつ、年間1,000トン輸入する場合で計算します。基準(a)では、マークアップなしのデフォルト値2.100から無償割当調整0.95 × 1.00 × 1.370 = 1.3015を差し引いた製品1トン当たり0.7985 tCO2e(CO2換算トン)が基礎になり、その50%の0.39925が製品1トン当たりの保有量です。
各四半期末に口座に保有すべきCBAM証書の数は次の表のとおりです(当サイトの計算ツール、2026年11月4日計算)。
| 四半期末 | その年の累積輸入量 | 保有すべき証書数(計算値) | 端数切り上げ |
|---|---|---|---|
| 2027年3月31日 | 250トン | 99.8125 | 100枚 |
| 2027年6月30日 | 500トン | 199.625 | 200枚 |
| 2027年9月30日 | 750トン | 299.4375 | 300枚 |
| 2027年12月31日 | 1,000トン | 399.25 | 400枚 |
端数の切り上げは当サイトの計算ツールの慣行です。実施規則(EU)2025/2620の前文第10項は2027年1月1日以降の輸入品についてベンチマークの更新を予定しているため、2027年の数値は目安です。
保有量は納付量ではありません。同じ1,000トンについて2028年9月30日までに納付する2027年分の証書は、マークアップ20%を含む製品1トン当たり1.2185枚、合計1,218.5枚です。買い手が日本の施設の検証済みデータで申告すれば、その納付実績を使う基準(b)により、翌年以降の保有量も実態に近づきます。
変更5:買い戻しの上限が購入数の3分の1から第22条第2項の購入義務に
買い戻しの上限は、購入した暦年に第22条第2項に基づき購入義務があった証書の総数です(第23条第2項、規則(EU)2025/2083による改正後)。 改正前の上限は、前暦年に購入した証書の3分の1でした。
買い戻しは、余ったCBAM証書を、購入した価格で買い戻してもらう認可CBAM申告者の権利です(第23条第3項)。買い戻しは欧州委員会が加盟国に代わって共通中央プラットフォームを通じて行い、請求の期限は証書を納付した年の10月31日です。改正前の期限は6月30日でした。予定していた輸入が遅れたり取り消されたりして、証書が余った輸入者を守る仕組みです。
新しい上限は、購入した証書の一定割合ではなく、四半期末の証書保有義務に連動します。ただし例外として、50トン基準を超えると見込んで証書を購入し、結果として基準を超えなかった申告者は、請求により購入した証書の全部を買い戻してもらえます(第23条第2項)。2026年分として2027年に購入した証書は、2027年中に限り買い戻せます(第23条第2a項)。
抹消の日も変わりました。欧州委員会は毎年11月1日に、前々年に購入された証書を抹消します(第24条第1項)。2026年分として購入された証書は、2027年11月1日に抹消されます(第24条第2項)。
変更6:認可CBAM申告者の罰金は第三者の誤りがあれば減額可能に
CBAM証書を納付しなかった認可CBAM申告者の罰金は、納付しなかった証書1枚につき、EU ETSの超過排出罰金(インフレ調整前で1トン当たり100ユーロ、欧州消費者物価指数で調整)と同額です(第26条第1項)。 この金額は簡素化規則で決まったものではなく、当初の規則(EU)2023/956がすでに指令2003/87/EC第16条第3項と第4項を参照していました。簡素化規則は、罰金の前提となる納付期限を5月31日から9月30日に移しました。
新しく加わったのは第26条第1a項です。不足が、施設の事業者、検証機関、または炭素価格に関する書類の独立した認証者が提供した誤った情報によって生じた場合、管轄当局は罰金を減額できます。減額後の罰金も実効的かつ比例的で、抑止力のあるものでなければならず、違反の期間、重大性、範囲、故意、繰り返し、申告者の協力の程度を考慮します。
罰金は証書の納付に代わるものではなく、上乗せされるものです。第26条第3項により、罰金を支払っても、不足分のCBAM証書を納付する義務は残ります。罰金の額を決めるため、管轄当局は、製品の正味重量とデフォルト値から、無償割当調整を考慮して、納付されるべきだった証書数を算定します(第26条第4a項)。
日本の施設事業者から見ると、第26条第1a項は、事業者が提供したデータの誤りを罰金の減額事由として条文に明記した規定です。つまり、日本の施設が提出する排出量報告書の正確さは、EUの買い手の罰金リスクに直接影響します。排出量報告書のサマリーに記載する16項目のデータはCBAMのデータ要件(輸出者向け)にまとめています。
変更7:50トン基準を超えた輸入者への罰金規定を追加
認可CBAM申告者以外の者が規定に従わずにCBAM対象製品をEUに持ち込んだ場合の罰金は、納付しなかった証書1枚につき第26条第1項の罰金の3倍から5倍(インフレ調整前で300から500ユーロ)です(第26条第2項)。 この倍率は当初の規則にもありました。簡素化規則は第26条第2a項を加え、50トン基準を超えた認可のない輸入者にこの罰金を適用しました。
第26条第2a項では、基準を超えた分だけでなく、その輸入者がその暦年に輸入した製品のすべての体化排出量が対象になります。罰金を支払えば、その輸入者は、それらの輸入についてCBAM申告書の提出と証書の納付の義務から解放されます。超過が10%以内の場合や、第17条第7a項の暫定輸入の場合、管轄当局は罰金を減額できますが、第26条第1項の水準を下回ることはできません。
暫定的に輸入を続けながら認可の決定を待つ輸入者は、2026年3月31日までに認可を申請する必要がありました(第17条第7a項、規則(EU)2025/2083により挿入)。管轄当局が申請を却下した場合、2026年1月1日以降に輸入された製品の体化排出量はデフォルト値で確定され、これが罰金の算定基礎になります。
例として、トルコ産の半製品(CNコード 7207 11 14)1,000トンを2026年に輸入した場合、デフォルト値で約1,211枚の証書に相当し(製品1トン当たり2.310 tCO2eにマークアップ10%を加え、0.975 × ベンチマーク1.364を差し引く)、第26条第2項の罰金はインフレ調整前で約36万3,000ユーロから60万6,000ユーロです。
日本産の熱延鋼板(CNコード 7208 51 20)1,000トンでは、デフォルト値で974.25枚(製品1トン当たり2.310 − 1.33575 = 0.97425枚)に相当し、同じ罰金はインフレ調整前で29万2,275ユーロから48万7,125ユーロです。JETROは2026年9月18日の記事で、日系企業のEU子会社自身が認可申告者となる場合もあると指摘しています。EU子会社が認可なしに50トンを超えて輸入すれば、この規定の対象になります。
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CBAMの法体系における規則(EU)2025/2083の位置付け
規則(EU)2025/2083は単独の規則ではなく、CBAMの基本法である規則(EU)2023/956を改正する規則です。
2023年から2025年12月までに出された13の実施規則と委任規則が、制度の運用の詳細を定めています。そのうち4つが簡素化規則の変更を運用ルールに反映しました。2つは既存の実施規則の改正で、2つは2026年の価格の算定方法とデフォルト値を定める新しい実施規則です。
簡素化規則の変更を反映した4つの実施規則は次のとおりです。
- 実施規則(EU)2025/2549:実施規則(EU)2025/486を改正し、認可CBAM申告者の認可手続きを簡素化規則に合わせた規則
- 実施規則(EU)2025/2550:実施規則(EU)2024/3210を改正し、証書の管理と納付の機能を含め、CBAM登録簿を本格実施期間向けに更新した規則
- 実施規則(EU)2025/2548:第21条第1a項に基づき、2026年の証書価格を四半期平均で算定する方法を定めた規則
- 実施規則(EU)2025/2621:2026年1月1日から適用される本格実施期間のデフォルト値を定め、マークアップを2026年10%、2027年20%、2028年以降30%(肥料は1%)とした規則。付属書は実施規則(EU)2026/1740により遡及的に差し替えられています
簡素化規則が改正した基本法と、7つの変更の土台となる法体系はCBAM規則(英語)で説明しています。日本の製品に適用されるデフォルト値はCBAMのデフォルト値で確認できます。
キャプション:規則(EU)2025/2083は規則(EU)2023/956を改正しました。既存の実施規則2つ(2025/2549、2025/2550)が改正され、新しい実施規則が2026年の価格算定方法(2025/2548)とデフォルト値(2025/2621)を定めています。
7つの変更が2026年・2027年の計画に与える影響
規則(EU)2025/2083の7つの変更はいずれも、2026年を通じて段階的に進み、2027年9月30日の申告期限へとつながる日程に影響します。
改正前の数値に基づく計画では、財務見通し、認可の期限、証書の保有計画のいずれもが誤ったものになります。
簡素化規則のもとでの主な日程は次のとおりです。
- 2026年1月1日:本格実施期間の開始。金銭的な義務がすべて適用され、税関は50トン基準による免除を除き、認可CBAM申告者によるCBAM対象製品の輸入のみを認めます(第25条第1項)
- 2026年3月31日:第17条第7a項に基づく暫定輸入のための認可申請の期限
- 2026年9月1日:CBAM登録簿で検証機関の登録が開始
- 2027年2月1日:共通中央プラットフォームでCBAM証書の販売が開始
- 2027年3月31日:最初の四半期末の保有確認(2027年1月1日以降の輸入が対象)
- 2027年9月30日:2026年分の最初のCBAM申告書の提出と証書の納付の期限
- 2027年10月31日:2026年分として2027年に購入した余剰証書の買い戻し請求の期限(第23条第1項、第2a項)
- 2027年11月1日:2026年分として購入され、口座に残っている証書の抹消(第24条第2項)
改正で変わった日付を含むすべての日程は、CBAMのスケジュールに時系列でまとめています。
2026年3月31日の認可申請期限、実施規則(EU)2025/2549で改正された実施規則(EU)2025/486の120日の審査期間、暫定申請の期限を逃した輸入者の金銭的なリスクは、認可CBAM申告者(英語)で説明しています。
簡素化規則で変わった9月30日の期限は、有効な年次申告の4つの要件の1つです。申告書の記載事項、体化排出量の検証の手続き、申告書を提出した年(または提出すべきだった年)の後4年目の終わりまでの記録保存義務(第7条第5項、第6項)は、CBAM申告書(英語)で説明しています。
簡素化規則で日本の輸出者にとって何が変わったか
簡素化規則は日本の輸出者に新しい義務を課していませんが、EUの買い手がデータを求める時期と理由を変えました。
義務を負うのは引き続きEUの輸入者またはその間接的通関代理人で、日本の施設事業者は、CBAM登録簿内の事業者用ポータル(O3CI)に登録して検証済みのデータを提供できる立場です(CBAM輸出者ガイド)。
日本の輸出者に関係する変化は、次の5点です。
- データの期限が2027年9月30日に定まりました。 2026年分の申告に実排出量を使ってもらうには、施設の検証報告書がそれまでに必要です。検証報告書は2027年1月からCBAM登録簿で発行されます。
- 50トン基準は買い手単位で判定されます。 小口の出荷でも、買い手の年間合計が50トンを超えれば対象になります。
- 2027年から買い手の資金負担が四半期ごとに生じます。 保有義務は50%に下がりましたが、保有量はマークアップなしのデフォルト値か前暦年の納付実績で算定されます。検証済みデータで申告した納付実績は、基準(b)を通じて翌年以降の保有量に反映されます。
- データの誤りが罰金の減額事由として明記されました。 第26条第1a項は、施設の事業者が提供した誤った情報を減額の理由に挙げており、データの正確さが取引上の論点になります。
- デフォルト炭素価格の仕組みが加わりました。 JETROの解説(2025年11月19日)によると、簡素化規則により、欧州委員会は2027年から炭素価格のある国ごとにデフォルト炭素価格を定め、算出方法とともにCBAM登録簿で公表できます(第9条第4項)。
第5点について、2026年11月4日時点で日本の炭素価格はEU CBAMの第9条で認められておらず、控除の実施規則も案の段階(未採択)です。日本についてデフォルト炭素価格は定められていません。排出量取引制度(GX-ETS)の無償割当分は実際に支払われた炭素価格とはみなされないなど、未解決の論点はCBAMの炭素価格控除で説明しています。
日本語の公的資料を参照する際は、日付に注意してください。経済産業省の「炭素国境調整措置」のページ(2026年6月1日更新)の簡素化の説明は2025年2月の提案段階の内容で、期限など一部の数値が採択された規則と異なります。JETROの「EU炭素国境調整メカニズム(CBAM)の簡素化規則の解説」(2026年2月)は2025年12月31日時点の情報です。日本の状況全体はCBAMと日本にまとめています。
よくある質問
規則(EU)2025/2083はいつ発効しましたか
規則(EU)2025/2083は、2025年10月17日にEU官報に掲載され、掲載の3日後の2025年10月20日に発効しました(同規則第2条)。署名は2025年10月8日です。改正の内容は2026年1月1日に始まった本格実施期間に関するもので、そのうち2つの変更は後から適用されます。四半期末の証書保有義務は2027年1月1日から、証書の販売は2027年2月1日からです(第36条第2項、改正後)。
簡素化規則でCBAMの対象部門は変わりましたか
変わっていません。規則(EU)2025/2083は、規則(EU)2023/956付属書Iの6部門(鉄鋼、セメント、アルミニウム、肥料、電力、水素)を変更していません。2028年から約180の川下製品を加える案は、簡素化規則とは別の欧州委員会提案(COM(2025)989、法律ではありません)で、通常立法手続きの途中です。
欧州議会は2026年9月15日に464対50(棄権159)で交渉方針を可決し、2026年10月20日の第1回三者協議(トリローグ)では全体合意に至りませんでした。第2回は2026年11月30日と報じられています。対象品目数は欧州委員会案が約180、理事会案が約200、欧州議会案が約457(推計)です。詳しくは川下製品への対象拡大をご覧ください。
50トン基準は1回の出荷ごとですか、1年ごとですか
50トン基準は、輸入者ごと、暦年ごとに、その法人が輸入したすべてのCBAM対象製品の合計で判定します。電力と水素には基準がありません。鉄鋼、セメント、アルミニウムなど部門を問わず、付属書Iの製品の年間合計が50トンを超えた輸入者は、その年のすべての輸入に義務を負います。1回の輸入ごとに判定していた150ユーロの基準は、現在は適用されません。
2027年以降の申告書も9月30日が期限ですか
はい。簡素化規則が改正した規則(EU)2023/956第6条の9月30日の期限は、すべての年に適用されます。2026暦年分のCBAM申告書は2027年9月30日、2027暦年分は2028年9月30日が期限です。各申告書は前年の1暦年分を対象とします。
認可CBAM申告者が第26条第1項の罰金を支払えば、CBAM証書を納付しなくてよいのですか
いいえ。第26条第1項の罰金(納付しなかった証書1枚につき、インフレ調整前で1トン当たり100ユーロ)を支払っても、不足分の証書を納付する義務はなくなりません。第26条第3項がそのように明記しています。罰金は納付に上乗せされるもので、認可申告者は罰金を支払ったうえで不足分の証書を取得し、納付します。50トン基準を超えた認可のない輸入者は扱いが異なり、第26条第2a項により、罰金を支払えばそれらの輸入について申告と納付の義務から解放されます。
日本の輸出者は簡素化規則で新しい義務を負いますか
負いません。CBAMの義務は、簡素化規則の前も後も、EUの輸入者またはその間接的通関代理人が負います。日本の施設事業者は、CBAM登録簿内の事業者用ポータル(O3CI)に登録して検証済みの排出量データを提供できます。ただし、2027年9月30日の申告期限と2027年からの四半期末の証書保有義務により、EUの買い手が検証済みデータを求める時期は早まります。算定や検証の支援事業者の紹介はCBAMの相談窓口から無料で依頼できます。
簡素化規則で日本の炭素価格は控除できるようになりましたか
なっていません。2026年11月4日時点で、日本の炭素価格はEU CBAMの第9条で認められておらず、控除の実施規則も案の段階(未採択)です。JETROの解説によると、簡素化規則により欧州委員会は2027年から国ごとのデフォルト炭素価格を定めることができますが(第9条第4項)、日本についてはまだ定められていません。