
EU炭素国境調整措置(CBAM、JETROや欧州委員会の和訳では「炭素国境調整メカニズム」)のアルミニウムのCNコードは、第76類の14項目です。2026年1月1日に始まった本格実施期間では、この14項目に当たる製品をEUに輸入すると、CBAM証書の購入と納付の義務が生じます。第76類のうち、アルミニウムのくず(7602)と食卓用品・台所用品・家庭用品(7615)の2項目は対象外です。
根拠となる法令は「炭素国境調整メカニズム(CBAM)を規定する、2023年5月10日の欧州議会および理事会規則(EU)2023/956」の付属書Iで、規則(EU)2025/2083(CBAM簡素化規則)により改正されています。CBAMは、規則(EU)2023/956に基づき、EUの輸入者に対し、輸入品の体化排出量に応じたCBAM証書の購入と納付を求める、EU ETSの価格に連動した証書制度です。
EUが2025年に日本から輸入したCBAM対象のアルミニウム製品(付属書Iのコード)は1億9,497万ユーロ、4万2,260トンで、そのうちアルミ板(CNコード 7606)が1億1,364万ユーロ、約58%を占めます(ユーロスタット(Eurostat)Comext DS-045409、2025年(2026年10月12日抽出))。本ページでは、対象と対象外のCNコード、日本の統計品目番号との違い、算定対象となる排出量、日本産の項目別のデフォルト値とコストを順に説明します。
キャプション:第76類でCBAMの対象となる14項目は、アルミ塊(未加工のアルミニウム)から、はく、管、構造物、容器まで広がります。
CBAMにおけるアルミニウムのCNコードとは
CBAMにおけるアルミニウムのCNコードとは、規則(EU)2023/956付属書Iに掲げられ、EUに輸入するとCBAM証書の義務が生じるアルミニウム製品の関税分類コードです。
対象の14項目はすべて第76類(アルミニウムおよびその製品)に属します。付属書Iに記載がないのは、7602(アルミニウムのくず)と7615(食卓用品、台所用品、家庭用品)の2項目です。CNコード(EUの関税分類コード)は8桁で、付属書Iは4桁の項(7601など)または8桁のコード(7609 00 00など)で対象を定めています。
この区別が重要なのは、50トン基準が輸入者ごと、暦年ごとに、すべてのCNコードとすべての原産国のCBAM対象製品の正味重量を合計して判定されるためです(第2a条、付属書VII第1項)。対象のアルミニウム製品は、鉄鋼、セメント、肥料の輸入と合算して数えます。
電力と水素を除き、輸入者ごとに暦年の累積正味重量が50トン以下であれば義務が免除されます(第2a条、付属書VII第1項)。免除は税関申告で申告する必要があります。日本からの出荷が少量でも、EUの輸入者が他の供給者からの輸入と合わせて50トンを超えれば、その出荷も義務の対象になります。
証書の仕組み全体(認可、申告、納付の流れ)は、EU炭素国境調整措置(CBAM)の全体像で説明しています。
第76類のCBAM対象CNコード一覧:対象14項目と対象外2項目
第76類の16項のうち14項目がCBAMの対象で、7602と7615の2項目が対象外です。
対象と対象外の項と、日本からEUへの2025年の輸入実績を次の表にまとめます(Eurostat Comext、2025年)。EUの輸入者は出荷ごとに8桁のCNコードで分類し、実施規則(EU)2025/2547に定める方法で体化排出量を算定します。品名の日本語は当サイトによる要約です。
| CNコード | 品名 | CBAMの扱い | 注記 | 日本からの輸入(2025年、金額/数量) |
|---|---|---|---|---|
| 7601 | アルミニウムの塊(未加工のアルミニウム) | 対象 | 7601 10(合金にしてないもの)、7601 20(合金)。2025年にEUが輸入したCBAM対象のアルミニウム914万トンのうち633万トン | 214万ユーロ/121.5トン |
| 7602 | アルミニウムのくず | 対象外 | 付属書Iに記載なし。くずはCBAM製品ではありません | 対象外 |
| 7603 | アルミニウムの粉およびフレーク | 対象 | アトマイズ粉とりん片状の粉を含みます | 74万ユーロ/9.7トン |
| 7604 | アルミニウムの棒および形材 | 対象 | 押出しと引抜きの製品 | 1,025万ユーロ/1,492トン |
| 7605 | アルミニウムの線 | 対象 | 径を問わず、裸線もコーティングした線も含みます(電気絶縁をしたものを除きます) | 423万ユーロ/858トン |
| 7606 | アルミニウムの板、シート、ストリップ(厚さ0.2mm超) | 対象 | はくの厚さを超える圧延製品 | 1億1,364万ユーロ/3万4,692トン |
| 7607 | アルミニウムのはく(厚さ0.2mm以下) | 対象 | 包装用と工業用、裏打ちの有無を問いません | 3,012万ユーロ/3,624トン |
| 7608 | アルミニウム製の管 | 対象 | 継目無と溶接、すべての合金 | 88万ユーロ/34.8トン |
| 7609 00 00 | アルミニウム製の管用継手 | 対象 | カップリング、エルボ、スリーブ | 115万ユーロ/35.6トン |
| 7610 | アルミニウム製の構造物およびその部分 | 対象 | 橋、塔、戸、窓。第94.06項のプレハブ建築物は除きます | 275万ユーロ/216トン |
| 7611 00 00 | アルミニウム製の貯蔵タンク、たる、バットなど(容量300L超) | 対象 | 圧縮ガス用と液化ガス用を除きます | 1万1,729ユーロ/0.4トン |
| 7612 | アルミニウム製のたる、ドラム、缶、箱など(容量300L以下) | 対象 | 硬質または折り畳み式のチューブ容器を含みます | 759万ユーロ/464トン |
| 7613 00 00 | アルミニウム製の圧縮ガス用または液化ガス用の容器 | 対象 | ガスボンベ | 3万5,903ユーロ/1.1トン |
| 7614 | アルミニウム製のより線、ケーブル、組ひもなど | 対象 | 電気絶縁をしてないもの | 2万802ユーロ/0.9トン |
| 7615 | 食卓用品、台所用品、家庭用品 | 対象外 | 付属書Iに記載なし | 対象外 |
| 7616 | その他のアルミニウム製品 | 対象 | 残余の項で、その下のすべてのコードが対象 | 2,141万ユーロ/711トン |
14項目の合計は1億9,497万ユーロ、4万2,260トンで、2023年は2億1,918万ユーロ(3万560トン)、2024年は1億2,705万ユーロ(1万8,842トン)でした。金額ベースで見ると、日本はアルミ板(7606)で第10位(EU域外輸入の2.89%)、アルミはく(7607)で第10位(2.30%)、容器(7612)で第8位(1.38%)、管用継手(7609)で第10位(0.63%)の供給国です(Eurostat Comext、2025年)。
8桁のレベルでは、見落としやすいコードがあります。アルミニウム複合板(ACP)は7606 11 30、7606 12 30、7607 20 91として個別のコードを持ち、飲料缶のボディ材とエンド材・タブ材は7606 12 11と7606 12 19です(実施規則(EU)2025/2620付属書第5.3項のベンチマーク表)。いずれも第76類の対象項に含まれるため、CBAMの対象です。
14項目に適用される排出係数、デフォルト値、原産国別の影響の全体は、CBAMのアルミニウム部門ガイドで説明しています。
日本の統計品目番号(9桁)とEUのCNコード(8桁)はどう違いますか
日本の輸出統計品目番号とEUのCNコードで共通なのは先頭6桁(HSコード)だけで、7桁目以降は別の体系です。
日本の輸出申告で使う統計品目番号は9桁、EUのCNコードは8桁、EUの輸入申告で使うTARICコードは10桁です。CBAMの対象は付属書IのCNコードで決まり、判定に使うのはEUの輸入申告に記載されるコードです。日本の番号の7桁目から9桁目をそのままCNコードの7桁目と8桁目として扱うことはできません。
第76類では、項(4桁)単位で付属書Iに載っている項目が多いため、4桁が一致すれば対象かどうかはほぼ判断できます。ただし、日本産のデフォルト値は7604と7616で8桁ごとに異なるため、輸出者はEUの買い手が申告するCNコードを書面で確認し、排出量データをそのコードに合わせて提供するのが確実です。
第76類で算定する排出量:直接排出量のみ(PFCを含む)
第76類のすべての製品について、CBAMの算定対象となるのは直接排出量だけです。
アルミニウムは規則(EU)2023/956付属書IIに掲げられており、付属書IIの製品では電力消費による間接排出量は算定に含まれません(第7条第1項)。製錬に使う系統電力の排出量がどれほど大きくても、CBAMの算定対象となるのは、炭素アノードの消費によるCO2とパーフルオロカーボン(PFC)を含む直接排出量です。
アルミニウムでは、CO2以外に2つの温室効果ガスが算入されます。四フッ化炭素(CF4、地球温暖化係数(GWP)6,630)と六フッ化エタン(C2F6、GWP 11,100)です。いずれも、ホール・エルー法の電解で電解浴のアルミナ(Al2O3)濃度が運転の閾値を下回ったときに起きる「アノード効果」で発生し、EUの輸入者は体化排出量の算定にPFCの排出量を含める必要があります(アルミニウムのPFC)。
直接排出量だけでも、デフォルト値を使えばコストは大きくなります。中国産のアルミ塊(CNコード 7601)のデフォルト値は製品1トン当たり3.000 tCO2e(CO2換算トン)で、2026年は10%のマークアップを加えて3.300です。無償割当調整はCBAM係数97.5% × 一次アルミニウムのベンチマーク1.423 = 1.387425で、差し引き製品1トン当たり1.912575枚のCBAM証書が必要です。2026年第3四半期の公式価格(1 CO2換算トン当たり82.32ユーロ、2026年10月5日公表)で製品1トン当たり157.44ユーロになります。
2030年の輸入では、マークアップ30%、CBAM係数51.5%となり、同じデフォルト値と価格で製品1トン当たり260.72ユーロです。ベンチマークは2027年からの輸入品について更新される可能性があるため(実施規則(EU)2025/2620前文第10項)、この数値は目安です。加工品のデフォルト値はさらに高く、中国産の板・シート(7606)は製品1トン当たり4.120 tCO2e、はく(7607)は5.559 tCO2eです。
年間の輸入量が50トン基準以下の輸入者は、その年の義務が免除されます。第76類の複数のコードを合わせると基準に近づく輸入者向けに、合算の考え方をCBAMの50トン基準(英語)で説明しています。
キャプション:ホール・エルー法の製錬所でアノード効果により発生するPFCは、炭素アノードの消費による直接のCO2とともに、CBAMの体化排出量に含まれます。
日本産の第76類製品のデフォルト値とコスト:項目別一覧
日本の付属書Iの表では、アルミニウムの24行すべてが二次ルート(L)で記載されており、日本産の第76類製品はデフォルト値で申告する限り、すべて二次アルミニウムのベンチマークで評価されます。
デフォルト値で輸入する場合、ベンチマークは国の表に記載されたルートで決まり、輸入者も輸出者も選べません(実施規則(EU)2025/2620付属書第5.1項)。日本のアルミ塊のデフォルト値0.360は付属書Iで最も低い値(日本を含む37の国・地域の表で同じ値)ですが、差し引く二次ルートのベンチマークも小さいため、加工品では証書の必要数が大きくなります。
日本産の14項目について、デフォルト値で輸入した場合の製品1トン当たりのコストを次の表に示します。2026年第3四半期の価格82.32ユーロで計算し、2030年も同じ価格としています。計算は2026年11月4日に当サイトの計算ツールで行いました。
| CNコード(日本の値が同じ8桁の範囲) | 日本のデフォルト値(tCO2e/t) | ベンチマーク(Column B、ルートL) | 2026年の証書数(製品1トン当たり) | 2026年のコスト(製品1トン当たり) | 2030年のコスト(製品1トン当たり) |
|---|---|---|---|---|---|
| 7601(5つのコードすべて) | 0.360 | 0.091 | 0.307275 | 25.29ユーロ | 34.67ユーロ |
| 7603 | 1.050 | 0.140 | 1.0185 | 83.84ユーロ | 106.43ユーロ |
| 7604 棒(7604 10 10、7604 29 10) | 1.280 | 0.148 | 1.2637 | 104.03ユーロ | 130.71ユーロ |
| 7604 形材(7604 10 90、7604 21 00、7604 29 90) | 1.290 | 0.152 | 1.2708 | 104.61ユーロ | 131.61ユーロ |
| 7605 | 1.280 | 0.148 | 1.2637 | 104.03ユーロ | 130.71ユーロ |
| 7606 | 1.730 | 0.148 | 1.7587 | 144.78ユーロ | 178.86ユーロ |
| 7607 | 1.730 | 0.258 | 1.65145 | 135.95ユーロ | 174.20ユーロ |
| 7608 | 1.290 | 0.152 | 1.2708 | 104.61ユーロ | 131.61ユーロ |
| 7609 00 00 | 1.290 | 0.152 | 1.2708 | 104.61ユーロ | 131.61ユーロ |
| 7610 | 1.290 | 0.152 | 1.2708 | 104.61ユーロ | 131.61ユーロ |
| 7611 00 00 | 1.730 | 0.258 | 1.65145 | 135.95ユーロ | 174.20ユーロ |
| 7612 | 1.730 | 0.258 | 1.65145 | 135.95ユーロ | 174.20ユーロ |
| 7613 00 00 | 1.730 | 0.258 | 1.65145 | 135.95ユーロ | 174.20ユーロ |
| 7614 | 1.280 | 0.148 | 1.2637 | 104.03ユーロ | 130.71ユーロ |
| 7616(7616 10 00、7616 91 00、7616 99 90) | 1.730 | 0.148 | 1.7587 | 144.78ユーロ | 178.86ユーロ |
| 7616 99 10(鋳造品) | 1.050 | 0.140 | 1.0185 | 83.84ユーロ | 106.43ユーロ |
デフォルト値:実施規則(EU)2025/2621付属書I(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)の日本の表の「総排出量」。ベンチマーク:実施規則(EU)2025/2620付属書第5.3項。2026年はマークアップ10%、CBAM係数97.5%、2030年はマークアップ30%、CBAM係数51.5%で、部門横断補正係数はいずれも100%です(実施決定(EU)2026/1862)。ベンチマークは2027年からの輸入品について更新される可能性があるため、2030年の数値は目安です。
日本の輸出額が最も大きいアルミ板(CNコード 7606 12 99)では、2026年の証書数は1.903(1.730 × 1.10)から0.1443(0.975 × 1.00 × 0.148)を差し引いた製品1トン当たり1.7587枚、コストは144.78ユーロです。同じ条件で、デフォルト値の高いUAE(2.660、ルートK)は121.68ユーロ、トルコ(2.714)は126.57ユーロ、米国(2.730)は128.02ユーロで、日本を下回ります。一次ルート(K)の国は、ベンチマーク1.485を差し引けるためです。
この差はCBAM係数が下がるにつれて縮み、逆転します。82.32ユーロ一定で、日本のアルミ板は2028年に174.17ユーロとUAEの174.64ユーロにほぼ並び、2030年には178.86ユーロでUAEの221.71ユーロ、トルコの227.49ユーロを下回ります。ベンチマークは2027年からの輸入品について更新される可能性があるため、2028年と2030年の数値は目安です。中国(4.120)は2026年に253.89ユーロです。
7616の中では、鋳造品(7616 99 10)だけがデフォルト値1.050で、他の7616のコード(1.730)より低くなります。ダイカスト部品などを輸出する場合は、EUの買い手が7616 99 10と7616 99 90のどちらで申告するかで、2026年のコストが製品1トン当たり83.84ユーロと144.78ユーロに分かれます。貴社の製品とトン数での推計はCBAM計算ツールで確認できます。規則(EU)2025/2621および2025/2620の公式デフォルト値とベンチマークに基づく推計です。拘束力のある数値は貴社のCBAM申告書に記載される数値です。
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第76類のデフォルト値は実務でどう適用されますか
第76類の製品のデフォルト値は、実施規則(EU)2025/2621付属書I(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)で国ごと、コードごとに定められています。
付属書Iはマークアップ前の総排出量を記載し、マークアップはその上に加えます。マークアップは2026年10%、2027年20%、2028年以降30%です。検証済みの実排出量ではなくデフォルト値に頼る輸入者の負担は、年を追うごとに重くなります。
第76類のCNコードについて輸入者からよく寄せられる実務上の質問は、次の4つです。
- 7601の号ごとにデフォルト値は異なりますか。 異なりません。7601は7601 10(合金にしてないもの)と7601 20(合金)に分かれますが、付属書Iは国ごとに項全体で一つのデフォルト値を記載しています。中国は3.000、日本は0.360です。その下の5つのCNコードのベンチマークは、すべて1.423(一次)または0.091(二次)です。
- 7616は残りのアルミニウム製品をすべて含みますか。 7616は、より具体的な項(7603から7614)に当たらない製品の受け皿となる残余の項で、鋳造品、鍛造品、機械加工部品がよく分類されます。付属書Iは項全体を掲げているため、7616の下の8桁のコードはすべて対象で、デフォルト値は8桁のコードごとに記載されています。
- アルミクラッド材は7606で全面的に対象ですか。 7606は厚さ0.2mmを超える板、シート、ストリップを、表面処理やクラッドの有無を問わず対象とします。ただし、母材がアルミニウムである場合に限ります。鋼の母材にアルミニウムを薄くクラッドした製品は、別の分類が必要になることがあります。
- 管用継手(7609)は管とは別に申告しますか。 7609は付属書Iに独立して掲げられているため、管とは別に体化排出量を算定します。継手の製造に使ったアルミニウムの体化排出量は、実施規則(EU)2025/2547の前駆体の規則に従って算入されます。
二次アルミニウム(リサイクルスクラップ)はCBAMの対象ですか
対象です。二次アルミニウムは一次地金と同じCNコードのCBAM製品ですが、スクラップの投入分は体化排出量ゼロとして扱われます。アルミニウムのくず(7602)は付属書Iに記載がないため前駆体にならず、それを原料とする金属に体化排出量は引き継がれません。再溶解で施設から出る直接排出量は申告します。
7604、7605、7606、7607、7616の製品をスクラップから作る輸出者は、デフォルト値を大きく下回る検証済みの実排出量を示すことで、CBAMの負担をゼロ近くまで下げられます。その利点は、マークアップが2027年に20%、2028年から30%に上がるにつれて大きくなります。デフォルト値では生産ルートが国の表で決まり、中国やトルコのようなルートKの国は、スクラップの比率にかかわらず、すべてのアルミニウムの行で一次ルートのデフォルト値になります。
日本はその逆で、一次地金を使う工場の製品もルートLのデフォルト値とベンチマークで評価されます。実排出量で申告する場合、差し引く量はColumn Aのプロセスベンチマークに、前駆体に含まれる無償割当を加えたものになります。スクラップの扱いをめぐる論点はCBAMのスクラップの抜け穴で説明しています。
CBAMの第76類のリストは今後変わりますか
現在の付属書Iのリストは、規則(EU)2023/956と規則(EU)2025/2083(CBAM簡素化規則)で定められています。CBAMの対象を川下の製造品に広げる欧州委員会提案(COM(2025)989、法律ではありません)は、2028年1月1日からの適用を予定し、通常立法手続で審議されています。
理事会は2026年6月12日に一般的アプローチを採択し、欧州委員会の当初案の約180品目に、鉄鋼とアルミニウムを含む製品の8桁のコード約200を加えました(追加コード数はMayer Brownの報告)。欧州議会の環境委員会(ENVI)は2026年7月6日、より広い独自の立場を採択し(賛成56、反対11、棄権12)、対象を約457品目(推計)に広げ、迂回防止の規則も強めました。
欧州議会は2026年9月15日、第1読会の交渉権限を賛成464、反対50、棄権159で採択しました。2026年10月20日の第1回三者協議(トリローグ)は全体合意に至らず(報道による)、アルミニウムの50トン基準と金属スクラップを含む4つの論点が技術協議に回され、第2回は2026年11月30日と報じられています。2026年11月4日時点で、対象拡大は提案のままで、適用開始の予定日は2028年1月1日です。
この提案が対象とするのは、CBAM対象の素材を含む完成品で、自動車部品、機械、建設製品に使われるアルミニウム部品などです。第76類の項を対象から外す案はなく、拡大の対象は川下の第84類、第85類、第87類、第94類です。JETROは2026年9月18日、電力中央研究所の分析として、提案された川下製品のコードが日本の対EU輸出の5.0%を占め、現在のCBAM対象製品の2.9%を上回ると紹介しています(川下製品への対象拡大)。
ノルウェーとアイスランドのアルミニウムはCBAMの対象外ですか
ノルウェーとアイスランドを原産とするアルミニウムは、CBAMの義務から完全に除外されています。両国の製品は規則(EU)2023/956付属書III第1項に掲げられているためです(第2条第4項)。両国は欧州経済領域(EEA)の加盟国で、EU排出量取引制度(EU ETS)に参加しています。ノルウェーのNorsk Hydroを含む両国の生産者は、個々の施設の炭素強度にかかわらず、この除外を受けます。
EUが2025年にノルウェーから輸入したCBAM対象のアルミニウム製品は44億7,000万ユーロ、155万トンで、EU域外からの輸入の数量ベースで16.9%と、原産国の中で最大でした(ユーロスタット(Eurostat)Comext DS-045409、2025年(2026年10月12日抽出))。この除外は、中国、トルコ、UAE、バーレーンなど対象国の競合に対する大きな利点です。
スイスも付属書III第1項に掲げられ、その排出量取引制度はEU ETSとリンクしています。中国、トルコ、UAE、バーレーン、日本の製品は全面的に対象です。2026年11月4日時点で、第9条の控除が認められた国の炭素価格は一つもありません。
第76類の製品で、日本の炭素価格はCBAMから控除されますか
2026年11月4日時点で、日本の炭素価格はEU CBAMの第9条で認められておらず、控除の実施規則も案の段階です。
第三国で支払われた炭素価格の控除(第9条)に関する実施規則案は2026年5月13日に公表され、意見募集は2026年6月10日に締め切られましたが、2026年11月4日時点で未採択です。控除の対象は実際に支払われた炭素価格に限られ、リベートなどの補償は差し引かれます(第9条第1項)。アルミニウムでは電力の間接排出量を申告しないため、電力料金に含まれる炭素コストは控除の根拠になりません。
日本の排出量取引制度(GX-ETS)は、直接排出量が前3年度平均で10万トン以上の事業者に2026年度(2026年4月から2027年3月)から義務づけられました。ただし割当は無償で、ベンチマーク方式の列挙部門(鉄鋼、セメント、電力、製紙、石油精製)以外はグランドファザリングで割り当てられます(ICAP)。欧州委員会の日本語ガイダンスは「排出量取引制度の場合、無償割当はリベートとみなされる」と説明しています。
英国は2026年8月27日、GX-ETSを英国CBAMの適格炭素価格制度(QCPS)の暫定リストに載せましたが、EU CBAMの扱いとは別です。英国CBAMは独立した税制度で、2027年1月1日からアルミニウムを含む5部門に課税します。詳しくはCBAMの炭素価格控除をご覧ください。
CBAMのアルミニウムのCNコードを調べるツールはありますか
CBAMのCNコード検索ツールでは、4桁の項または8桁のコードで検索し、製品が付属書Iの対象かどうか、適用されるデフォルト値、付属書IIの製品(直接排出量のみ)か付属書II以外の製品(直接排出量と間接排出量)かを確認できます。第76類では、対象の項はすべて付属書IIの製品と表示され、直接排出量だけが算定対象であることがわかります。
複数の供給国から第76類の製品を輸入する場合、認定検証機関が施設の排出量報告書を検証すれば、供給者ごとの実排出量で申告できます。国家認定機関の登録簿で確認できる認定は、2026年10月13日時点で5件、認定した国家認定機関は3つ(ギリシャのESYD、イタリアのAccredia、スウェーデンのSwedac)で、日本の法人は含まれません。2026年10月23日時点で、欧州委員会の認定検証機関リストは未公表です。
認定範囲がアルミ塊(活動グループVII)とアルミニウム製品(活動グループVIII)の両方を含むとは限りません。たとえばSGS ICS Italia S.r.l.(イタリアの国家認定機関Accrediaが認定)の認定範囲には、アルミ塊が含まれません。範囲はCBAM認定検証機関で確認してください。検証済みのデータを申告しない場合はCBAMのデフォルト値が適用され、2026年は公表値に10%のマークアップが加わります。
アルミニウムの調達網を持つEUの輸入者は、第76類の輸入全体を認可の状況と合わせて見直す必要があります。認可申請の期限(2026年3月31日)はすでに過ぎています。期限までに申請した輸入者は、管轄当局が決定するまで暫定的に輸入を続けられます(第17条第7a項)。それ以降に申請する輸入者は、50トン基準を超えて輸入する前に認可が必要です。
2027年から、認可申告者は各四半期末に、その暦年の初めから輸入した製品の体化排出量の50%以上に相当するCBAM証書を口座に保有する必要があります(第22条第2項)。算定には第31条の無償割当調整が考慮されます。2026年分のCBAM申告書の提出とCBAM証書の納付の期限は、2027年9月30日です(規則(EU)2023/956第6条第1項、第22条第1項)。輸入者向けの詳細は輸入者向けCBAMアルミニウムガイド(英語)にあります。
日本のアルミニウム輸出者にCBAMの法的義務はなく、義務を負うのはEUの輸入者またはその間接的通関代理人です。輸出者は、CBAM登録簿内の事業者用ポータル(O3CI)に登録して検証済みのデータを提供できます。第9条の扱いを含む輸出者から見たコストと対応策は、日本のアルミニウム輸出とEU CBAMで説明しています。
CBAMについて日本で相談できる窓口はありますか
経済産業省は「炭素国境調整措置」のページ(2026年6月1日更新)で概要と関連資料を公開し、JETROは貿易投資相談の窓口、算定実務マニュアル(2026年3月)、セミナーを提供しています。2026年11月4日時点で、日本の輸出者向けのCBAM専用の補助金は確認できません。日本の状況はCBAMと日本で解説しています。支援事業者の紹介はCBAMの相談窓口(無料)から依頼できます。