
CBAMでは、アルミニウムに限り、CO2に加えてPFC(パーフルオロカーボン)も温室効果ガスとして算入します。対象は四フッ化炭素(CF4、地球温暖化係数(GWP)6,630)と六フッ化エタン(C2F6、GWP 11,100)の2種類です。CF4がわずか1キログラム排出されただけで、CBAMの申告では6.63 tCO2e(CO2換算トン)として数えられます。
EU炭素国境調整措置(CBAM。JETROや欧州委員会の和訳では「炭素国境調整メカニズム」)の根拠法は、「炭素国境調整メカニズム(CBAM)を規定する、2023年5月10日の欧州議会および理事会規則(EU)2023/956」です。PFCの算定方法は、実施規則(EU)2025/2547付属書II第B.7項が定めています。EUの輸入者は、2026年分のCBAM申告書を2027年9月30日までに提出します(規則(EU)2023/956第6条第1項)。
日本の輸出者にとっての要点は2つです。まず、デフォルト値を定める付属書Iの日本の表は、アルミニウムの24行すべてを二次ルート(L)で記載しており、デフォルト値にはPFCの内訳が示されていません。一方、実排出量で申告する場合は、圧延品の前駆体である一次アルミ塊について、製錬所で生じたPFCが算定に入ります。
CBAMは、規則(EU)2023/956に基づき、EUの輸入者に対し、輸入品の体化排出量に応じたCBAM証書の購入と納付を求める、EU ETSの価格に連動した証書制度です。本ページでは、PFCが発生する仕組み、GWPと係数、算定の手順、アノード効果のコスト、日本の製品での扱いを順に説明します。
キャプション:ホール・エルー法による電解は、一次アルミニウムを商業生産する唯一の生産ルートで、CBAMの対象となるCO2とPFCの両方の排出源です。
アルミニウム製錬で発生するPFCとは
アルミニウム製錬で発生するPFCは、ホール・エルー法の電解で電解浴のアルミナ(Al2O3)濃度が下がりすぎたときに起きる「アノード効果」で発生する、四フッ化炭素(CF4)と六フッ化エタン(C2F6)の2種類の完全フッ素化炭素化合物です。
規則(EU)2023/956付属書Iは、アルミニウムの全14項目(CNコード 7601から7616まで、7602と7615を除く)について、対象の温室効果ガスを「二酸化炭素およびパーフルオロカーボン」としています。PFCは直接の体化排出量の範囲に入ります。
アルミニウムは付属書IIに掲げられた製品で、CBAM証書の算定対象は直接排出量だけです。PFCは電解槽そのものから出る直接のプロセス排出なので、CF4もC2F6もCBAMの算定範囲に完全に含まれます。対象となる排出量の範囲と、体化排出量に関する義務の全体は、EU炭素国境調整措置(CBAM)の全体像をご覧ください。
アノード効果は、電解浴のアルミナが不足すると起きます。このとき炭素アノードは、溶け込んだアルミナではなくフッ化物系の電解浴と反応し、CF4と、それより少量のC2F6を生成します。新しい製錬所では、リアルタイム監視とアルミナの自動供給によって、アノード効果の頻度を抑えています。
PFCの地球温暖化係数(GWP)がCBAMの算定で重要な理由
アルミニウムのCBAM算定でPFCの換算に使うGWPは、CF4が6,630、C2F6が11,100の2つです。
これらの値は実施規則(EU)2025/2547付属書II第G項の表6に定められており、必要なCBAM証書の数を計算する基礎となるCO2換算(CO2e)の質量を決めます。製錬所で排出されたCF4は1キログラム当たり6.63 tCO2e、C2F6は1キログラム当たり11.1 tCO2eとして、CBAMの申告で数えられます。
大規模な施設では、アノード効果の頻度をわずかに下げるだけで、CBAM証書のコストが目に見えて下がります。2026年の輸入には、EU ETSの排出枠のオークション価格の四半期平均が適用されます(規則(EU)2023/956第21条第1a項)。2026年第3四半期の公式価格は、1 CO2換算トン当たり82.32ユーロ(2026年10月5日公表)です。
一次アルミニウムの直接排出量は、電極または電極ペーストの消費によるCO2と、2種類のPFCのCO2eの合計です(実施規則(EU)2025/2547付属書I第3.17.2.1項)。ただし、同実施規則はアノード由来のCO2について固定の係数を定めていません。
参考までに、2006年IPCC国別温室効果ガスインベントリガイドライン(第3巻、表4.10、国際アルミニウム協会(IAI)の調査データに基づく)は、Tier 1のデフォルト値として、アルミニウム地金1トン当たりのCO2をプリベーク式で1.6トン、ゼーダーベルグ式で1.7トンとしています。
検証済みのデータを入手できない輸入者は、国別のデフォルト値を使います。一次ルート(K)が記載された国の表では、アルミ塊(CNコード 7601)のデフォルト値は製品1トン当たり1.700から3.198 tCO2eです。これに基づくコストは、CBAMアルミニウム部門ガイドで示しています。
一方、PFCについては、実施規則(EU)2025/2547が係数を定めています。スロープ法(方法A)の技術別の係数と、それをCO2eに換算した値は次の表のとおりです。
| 電解槽の技術 | CF4のスロープ係数(kg CF4/t Al、セル日当たりアノード効果1分当たり) | C2F6の重量比(t C2F6/t CF4) | セル日当たりアノード効果1分当たりのPFC排出量(tCO2e/t Al) |
|---|---|---|---|
| 旧型ポイントフィード・プリベーク(PFPB L) | 0.122 | 0.097 | 0.940 |
| 新型ポイントフィード・プリベーク(PFPB M) | 0.104 | 0.057 | 0.755 |
| センターワーク・プリベーク(CWPB) | 0.143 | 0.121 | 1.140 |
| サイドワーク・プリベーク(SWPB) | 0.233 | 0.280 | 2.269 |
| 垂直スタッド式ゼーダーベルグ(VSS) | 0.058 | 0.086 | 0.440 |
| 水平スタッド式ゼーダーベルグ(HSS) | 0.165 | 0.077 | 1.235 |
出典:実施規則(EU)2025/2547付属書II第B.7.1項の表2。最終列は当サイトが、スロープ係数 ×(6.630+重量比 × 11.100)で計算した値で、GWPは第G項の表6によります。セル日当たりアノード効果0.2分で操業するラインの排出量は、表の値の5分の1です。
CBAM申告におけるPFC排出量の算定方法
PFC排出量は、実施規則(EU)2025/2547付属書II第B.7項に従い、アノード効果の記録から排出係数でCF4とC2F6の質量を求め、それぞれにGWPを掛けてtCO2eを算出します。
事業者がアノード効果を記録する方法は2つあります。方法A(スロープ法)はセル日当たりのアノード効果分数を、方法Bはアノード効果の過電圧を使います。どちらの場合も、記録した数値を排出係数でCF4とC2F6のトン数に換算し、GWPを掛けてtCO2eにします。
最低限の要件は、同実施規則が定める技術別の係数を使うことです。推奨される改善策は、国際アルミニウム協会のガイドラインに沿った測定によって、施設固有の係数を定めることです。ダクトや煙突で測定した排出量は捕集効率で割り戻し、捕集されずに漏れ出る排出量も含めます。
EU域外の供給者から施設単位のモニタリングデータを入手できない輸入者は、実施規則(EU)2025/2621付属書I(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)のデフォルト値を使います。デフォルト値には、2026年は10%、2027年は20%、2028年以降は30%のマークアップが加わります。このため、検証済みの実排出量ではなくデフォルト値を使い続けると、コストは年々割高になります。
CBAM申告に向けて、PFCを含む体化排出量を求める手順は次の3つです。
- 施設のCF4とC2F6の年間排出量を把握します。 実排出量で申告する場合は認定検証機関の検証を受けた報告書から入手し、デフォルト値で申告する場合は実施規則(EU)2025/2621(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)の国別のデフォルト値を使います。
- 各ガスをtCO2eに換算します。 CF4のトン数に6,630を、C2F6のトン数に11,100を掛けます。
- 合計して製品1トン当たりの値にします。 アノード消費によるCO2と2種類のPFCのCO2eを足し、その施設で生産したアルミニウム1トン当たりの直接の体化排出量を求めます。
この合計値を基に、輸入する個々の製品の体化排出量を計算します。施設の排出量を製品ごとの体化排出量に換算する方法の全体は、体化排出量の算定方法で説明しています。
アノード効果の頻度・継続時間とCBAMコストへの影響
スロープ法ではアノード効果をセル日当たりのアノード効果分数(AEM/CD、頻度×平均継続時間)で表し、CBAMの申告に含まれるPFCの量はこの数値に比例します。
以下は当サイト独自の試算です。年産50万トンの新型ポイントフィード・プリベーク(PFPB M)のラインについて、AEM/CDが0.15の場合と1.0の場合を仮定し、前掲の表の0.755 tCO2e/tを使って比較します。両者の差はアルミニウム1トン当たり0.85 × 0.755 = 0.64175 tCO2eで、年間では約32万1,000 tCO2eになります。
検証済みの実排出量で申告する場合、無償割当調整は製品1トン当たりの固定量です。そのため、この差は初年度から全額がCBAM証書の対象となり、製品1トン当たり0.64175枚、2026年第3四半期の公式価格82.32ユーロで製品1トン当たり52.83ユーロになります。全量をEUに販売する場合、同じ価格で年間約2,640万ユーロの差となり、この差は2026年でも2034年でも変わりません。
このように、CBAMはアノード効果を減らす技術に投資する直接の経済的な動機を生みます。理由は証書のコストだけではありません。検証と報告の費用、認可申告者による申告の手間、EUの買い手との関係も、施設単位の排出実績に左右されます。
キャプション:アノード効果の頻度が高い製錬所と低い製錬所の証書コストの差を、無償割当が段階的に削減される2026年から2034年までの期間について比べた図です。
日本のアルミニウム製品とPFC:二次ルートのデフォルト値と前駆体
付属書Iの日本の表ではアルミニウムの24行すべてが二次ルート(L)で記載され、デフォルト値にもPFCの内訳が示されていないため、日本の製品でPFCが問題になるのは主に実排出量で申告する場合です。
EUが2025年に日本から輸入したCBAM対象のアルミニウム製品(付属書Iのコード)は1億9,497万ユーロ、4万2,260トンで、EU域外からの輸入に占める割合は金額ベースで0.64%、数量ベースで0.46%です(ユーロスタット(Eurostat)Comext DS-045409、2025年(2026年10月12日抽出))。ほぼすべてが加工品で、アルミ塊(CNコード 7601)は214万ユーロ、122トンにすぎません。
最大の品目はアルミ板(CNコード 7606)で1億1,364万ユーロ、3万4,692トン、次がアルミはく(CNコード 7607)で3,012万ユーロ、3,624トンです(Eurostat Comext、2025年)。日本はどちらの品目でも、EU域外の供給国のうち第10位です。
日本のデフォルト値は、アルミ塊が製品1トン当たり0.360 tCO2e、アルミ板とアルミはくが1.730で、いずれもルートLです(実施規則(EU)2025/2621付属書I、実施規則(EU)2026/1740により差し替え)。デフォルト値を使う場合、ベンチマークは国の表に記載されたルートで決まり、輸出者は選べません(実施規則(EU)2025/2620付属書第5.1項)。
日本の主な製品と、一次ルート(K)の国のアルミ塊について、デフォルト値を使った場合のコストは次のとおりです。
| 原産国と製品(CNコード) | デフォルト値(tCO2e/t) | ルートとベンチマーク(Column B) | 2026年の証書数(製品1トン当たり) | 2026年のコスト(製品1トン当たり) | 2030年のコスト(製品1トン当たり) |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本、アルミ塊(7601 10 90) | 0.360 | L、0.091 | 0.307275 | 25.29ユーロ | 34.67ユーロ |
| 日本、アルミ板(7606 12 99) | 1.730 | L、0.148 | 1.7587 | 144.78ユーロ | 178.86ユーロ |
| 日本、アルミはく(7607 19 90) | 1.730 | L、0.258 | 1.65145 | 135.95ユーロ | 174.20ユーロ |
| UAE、アルミ塊(7601 10 90) | 1.870 | K、1.423 | 0.669575 | 55.12ユーロ | 139.79ユーロ |
| 中国、アルミ塊(7601 10 90) | 3.000 | K、1.423 | 1.912575 | 157.44ユーロ | 260.72ユーロ |
価格は2026年第3四半期の82.32ユーロで一定とし、部門横断補正係数は100%(実施決定(EU)2026/1862)としています。2030年はマークアップ30%、CBAM係数51.5%で計算した目安です。ベンチマークは2027年からの輸入品について更新される可能性があります(実施規則(EU)2025/2620前文第10項)。計算は2026年11月4日に当サイトの計算ツールで行いました。
アルミ板の例では、デフォルト値1.730 × 1.10 = 1.903、無償割当調整 0.975 × 1.00 × 0.148 = 0.1443、差し引き製品1トン当たり1.7587枚のCBAM証書、2026年第3四半期の価格82.32ユーロで製品1トン当たり144.78ユーロです。貴社の製品とトン数での推計は、CBAM計算ツールで確認できます。計算ツールの結果は、規則(EU)2025/2621および2025/2620の公式デフォルト値とベンチマークに基づく推計です。拘束力のある数値は貴社のCBAM申告書に記載される数値です。
実排出量で申告する場合:前駆体となる一次アルミ塊のPFC
実排出量で申告する場合、日本の圧延メーカーが使用した一次アルミ塊は前駆体として算定に含まれるため、その製錬所のPFCが製品の体化排出量に入ります。
JETROは2026年9月18日の記事で、「前駆体の体化排出量の算定にデフォルト値を利用する場合であっても、輸出する対象製品ごとに使用する前駆体のCNコード、生産国(前駆体に対する最後の加工工程が行われた国)、投入重量を特定する必要がある」と説明しています。前駆体の生産国のデフォルト値を使う場合、その国が一次ルートの国であれば、デフォルト値にはPFCを含む一次製錬の排出量が反映されています。
実排出量で申告する場合、差し引く量は、Column Aのプロセスベンチマークに前駆体に含まれる無償割当を加えたものです(実施規則(EU)2025/2620付属書)。アルミ板(CNコード 7606 12 99)のColumn Aは0.056で、Column Bの0.148とは基準が異なります。デフォルト値と実排出量の比較結果は大きく変わり得るため、両方の方法を貴社のデータで試算してください。
日本の圧延メーカーが一次アルミ塊の供給者に確認すべき項目は、次のとおりです。
- 製錬所の特定直接体化排出量:アノード由来のCO2とPFCのCO2eを含む、アルミ塊1トン当たりのtCO2e
- PFCの算定方法:方法A(スロープ法)か方法B(過電圧法)か、電解槽の技術、技術別の係数か施設固有の係数か
- アノード効果のデータ:対象期間のAEM/CDまたは過電圧の記録
- 検証の状況:EU加盟国の国家認定機関(NAB)が認定した検証機関による検証を受けているかどうか
- 生産国と投入重量:前駆体の生産国(最後の加工工程が行われた国)と、製品ごとの投入重量
施設のデータをEUの買い手に提供する方法は、輸出者のデータ要件で説明しています。
日本の炭素価格はCBAMで控除されますか
2026年11月4日時点で、日本の炭素価格はEU CBAMの第9条で認められておらず、控除の実施規則も案の段階です。
第三国で支払われた炭素価格の控除(第9条)に関する実施規則案は2026年5月13日に公表され、意見募集は2026年6月10日に締め切られましたが、2026年11月4日時点で未採択です。どの国の炭素価格もまだ認められていません。控除の対象は実際に支払われた炭素価格に限られ、リベートなどの補償を受けた分は差し引かれます(第9条第1項)。
日本の排出量取引制度(GX-ETS)は2026年度(2026年4月から2027年3月)から義務化されましたが、GX-ETSの排出枠は無償割当で配分されています(ICAP)。欧州委員会の日本語ガイダンスは「排出量取引制度の場合、無償割当はリベートとみなされる」と説明しています。詳しくはCBAMの炭素価格控除をご覧ください。
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システム境界:PFCが下流のアルミニウム製品に引き継がれる仕組み
PFCは一次アルミニウムの製錬段階で生じる直接のプロセス排出で、その体化排出量は、CBAMの対象となる下流のすべてのアルミニウム製品に引き継がれます。
下流の製品には、棒と形材(7604)、線(7605)、板(7606)、はく(7607)、管(7608)、構造物(7610)、その他の製品(7616)があります。PFC排出量の多い製錬所の地金を使ったアルミはく(CNコード 7607)を輸入する場合、輸入者は上流の生産工程で生じたPFCを含む体化排出量をそのまま引き継ぎます。
リサイクルスクラップから生産する二次アルミニウムでは、スクラップの投入分は体化排出量ゼロとして扱われます。ホール・エルー法の電解を使わないため、PFCも発生しません。このため、二次アルミニウム製品の輸入者のCBAMの義務は、同等の一次アルミニウム製品よりはるかに小さくなります。ただし、アルミ塊の二次ルート(L)のベンチマークは0.091と低いため、差し引かれる無償割当調整も小さくなります(詳しくはCBAMのスクラップの抜け穴をご覧ください)。
アルミニウムのCBAMデフォルト値にPFCは含まれますか
含まれます。規則(EU)2023/956付属書Iはアルミニウムの対象ガスを二酸化炭素とパーフルオロカーボンと定め、付属書IV第4.1項は、デフォルト値を各輸出国の平均排出原単位にマークアップを加えた値としています。実施規則(EU)2025/2621付属書I(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)のデフォルト値の表は、CNコードと国ごとに直接排出量の数値を1つだけ記載しており、PFCの内訳は示していません。2026年は、その数値に10%のマークアップが加わります。
CBAMの間接排出量のルールはPFCの報告に影響しますか
影響しません。電力消費による排出をCBAM証書の算定対象に含めるかどうかを決める間接排出量のルールは、PFCの報告とは関係がありません。アルミニウムは規則(EU)2023/956付属書IIに掲げられており、算定対象は直接排出量だけです。PFCは電解槽から出る直接のプロセス排出で、発電に伴う間接排出ではないため、製錬所がどこから電力を調達していても直接排出量の範囲に含まれます。
アルミニウムの直接排出量と間接排出量の区別、そして規則の前文第65項が、間接排出量への対象拡大に必要な情報を「as soon as possible」(できる限り早く、当サイト仮訳)収集するよう求めている理由は、アルミニウムの間接排出量で説明しています。
PFCの体化排出量が関係するCNコードはどれですか
一次アルミニウムを原料とする場合、CBAMの対象となる第76類のすべてのCNコードの体化排出量には、上流のホール・エルー法で生じたPFCが含まれます。一次アルミニウム由来の製品を輸入する場合にPFCが関係する付属書Iの14項目は、次のとおりです。
- 7601:アルミニウムの塊(一次地金の場合、製品1トン当たりのPFCの影響が最も大きい)
- 7603:アルミニウムの粉およびフレーク
- 7604:アルミニウムの棒および形材
- 7605:アルミニウムの線
- 7606:アルミニウムの板、シートおよびストリップ(厚さ0.2mm超)
- 7607:アルミニウムのはく(厚さ0.2mm以下)
- 7608:アルミニウムの管
- 7609 00 00:アルミニウム製の管用継手
- 7610:アルミニウム製の構造物およびその部分
- 7611 00 00:アルミニウム製の貯蔵タンク、たる、バットなど(容量300L超)
- 7612:アルミニウム製のたる、ドラム、缶、箱など(容量300L以下)
- 7613 00 00:アルミニウム製の圧縮ガス用または液化ガス用の容器
- 7614:アルミニウム製のより線、ケーブル、組ひもなど(電気絶縁をしていないもの)
- 7616:その他のアルミニウム製品
対象外のくず(7602)と家庭用品(7615)を含め、アルミニウムのCNコードの一覧はアルミニウムのCNコードをご覧ください。
PFCは実排出量とデフォルト値のどちらで申告すべきですか
供給者の施設の排出量が国のデフォルト値を下回る場合、一次アルミニウム製品の輸入者は、検証済みのPFCの実排出量を使うほうが有利です。付属書Iに記載されたデフォルト値はマークアップ前の値で、2026年はこれに10%のマークアップが加わります。このため、排出量が国の平均より少ない施設では、マークアップ込みのデフォルト値と検証済み排出量との差の分だけ負担を減らせます。その差は証書価格で金額に換算され、適用されるベンチマークの違いによって調整されます。
マークアップは2027年に20%、2028年から30%に上がるため、この差は2028年まで毎年広がります。判断の決め手となる変数は、施設の検証済み排出量、マークアップ込みの国のデフォルト値、それぞれの方法で適用されるベンチマーク(デフォルト値ではColumn B、実排出量ではColumn Aと前駆体の無償割当)の3つです。輸入者は両方の方法で試算する必要があります。アルミニウムのデフォルト値の参考値は、CBAMのデフォルト値にまとめています。
PFCの報告を誤った場合の罰金はありますか
あります。PFC排出量の過少申告によるものを含め、CBAM証書の納付が不足した認可CBAM申告者には、納付しなかったCBAM証書1枚につき、EU ETSの超過排出罰金(インフレ調整前で1トン当たり100ユーロ、欧州消費者物価指数で調整)と同額の罰金が科されます(規則(EU)2025/2083により改正された規則(EU)2023/956第26条第1項)。認可申告者以外の者には、その3倍から5倍(インフレ調整前で300から500ユーロ)が科されます(第26条第2項)。
CF4(GWP 6,630)とC2F6(GWP 11,100)はGWPが高いため、わずかな量のPFCでも申告から漏れると、tCO2eで大きな不足が生じ、罰金につながります。このリスクへの主な備えは、認定検証機関による検証です。2026年10月23日時点で、欧州委員会の認定検証機関リストは未公表です。認定は各国の国家認定機関の登録簿で確認でき、2026年10月13日時点で5件(3つの国家認定機関による)です(CBAM認定検証機関)。
輸入者の義務の流れは輸入者向けCBAMアルミニウムガイド(英語)で、日本の輸出者の対応は日本のアルミニウム輸出とEU CBAMとCBAMと日本で解説しています。算定や検証を支援する事業者の紹介は、CBAMの相談窓口から無料で依頼できます。