CBAM アルミニウム 2026年:直接排出量とPFCが対象、電力の間接排出量は対象外

CBAMのアルミニウムは直接排出量とPFCが対象で、電力の間接排出量は対象外です。

このページの内容
図:アルミナとスクラップはCBAM対象外で、製錬に使う電力の排出量は算入されません。製錬所のCO2とPFCはアルミ塊(CNコード 7601)に算入され、アルミ塊はアルミニウム製品の前駆体です。

EU炭素国境調整措置(CBAM、JETROや欧州委員会の和訳では「炭素国境調整メカニズム」)がアルミニウムについて証書の対象とするのは、製錬の直接排出量とパーフルオロカーボン(PFC)だけで、電解に使う電力の間接排出量は対象外です。 アルミ塊(CNコード 7601)の一次ルートのデフォルト値は、原産国により製品1トン当たり1.700から3.198 tCO2e(CO2換算トン)で、そこから一次アルミニウムのベンチマーク1.423に基づく無償割当調整を差し引きます。

根拠となる法令は「炭素国境調整メカニズム(CBAM)を規定する、2023年5月10日の欧州議会および理事会規則(EU)2023/956」で、規則(EU)2025/2083(CBAM簡素化規則)により改正されています。CBAMで証書の対象となる排出量と、大量の電力を使う製錬所の実際の排出量との差は、2026年のアルミニウム部門で最大の論点です。

日本企業にとっての論点は別にあります。付属書Iの日本の表では、アルミニウムの24行すべてが二次ルート(L)で記載されています。アルミ塊のデフォルト値0.360は最も低い水準ですが、差し引くベンチマークも二次ルートの小さな値になるため、アルミ板(CNコード 7606)では2026年のコストがUAEやトルコを上回ります。

CBAMは、規則(EU)2023/956に基づき、EUの輸入者に対し、輸入品の体化排出量に応じたCBAM証書の購入と納付を求める、EU ETSの価格に連動した証書制度です。本ページでは、対象となる排出量、算定方法、一次と二次のコスト差、電力が除外される理由、PFC、対象のCNコードと原産国、日本の製品への影響を順に説明します。

キャプション:アルミニウムでCBAMの対象となるのは直接排出量とPFCだけで、製錬に使う電力の排出量は含まれません。


アルミニウムの輸入でCBAMの対象となる排出量は何ですか

CBAMはアルミニウムについて、体化排出量のうち、炭素アノードの消費によるCO2とPFCを含む直接排出量だけを対象とし、製錬に使う系統電力の間接排出量は対象外です。

EUの輸入者は、この範囲の排出量について申告し、CBAM証書を納付します。アルミ塊(CNコード 7601)のデフォルト値用のCBAMベンチマークは、一次アルミニウムが製品1トン当たり1.423 tCO2e、二次アルミニウムが0.091です(実施規則(EU)2025/2620付属書第5.3項)。

アルミニウムは規則(EU)2023/956付属書IIに掲げられており、付属書IIの製品は直接排出量だけが算定されます。鉄鋼と水素も同じ扱いです。一方、セメントと肥料は電力の間接排出量も対象です。EUのセメントと肥料の生産者は、間接的な炭素コストに対するEU ETSの国家補助を受けていないためです。

EUの輸入者が2026年分のCBAM申告書(提出期限は2027年9月30日、規則(EU)2023/956第6条第1項)に記載するのは、直接排出量の範囲の体化排出量だけです。記載する値は、製錬所の工程データに基づき検証を受けた実排出量か、デフォルト値のいずれかです。製錬所の電力消費は申告に含まれません。

対象範囲は部門ごとに異なり、財務への影響を大きく左右します。コストを計算する前に、EU炭素国境調整措置(CBAM)の全体像で部門ごとの適用を確認してください。

欧州委員会税制・関税同盟総局(DG TAXUD)は2026年8月14日、本格実施期間の10本のガイダンス文書の一つとして、アルミニウム部門のガイダンス(第5e号)を公表しました。EU域外のアルミニウム生産者と認可CBAM申告者を対象とする文書です(10本のCBAMガイダンス文書、英語)。


アルミニウムの体化排出量はどのように算定されますか

アルミニウムの体化排出量の算定では、排出の構造が大きく異なる一次アルミニウムと二次アルミニウムを区別します。

アルミニウムの出荷1件の体化排出量を決める4つの要素は、次のとおりです。

  • 生産の種類:一次アルミニウム(アルミナからのホール・エルー法による電解)か、二次アルミニウム(リサイクルスクラップの再溶解)か
  • 炭素アノードの消費:電解中にアノードが酸化して出る直接のCO2
  • PFCの排出:電解工程で発生するパーフルオロカーボン
  • スクラップの比率:投入物に占めるリサイクル材の割合で、リサイクルスクラップは体化排出量ゼロとして扱われます

一次アルミニウムの直接排出量には、アノードの燃焼によるCO2と、PFCをCO2eに換算した排出量の両方が含まれます。二次アルミニウムでは、再溶解炉で使うエネルギーの直接排出量だけが算入されます。2026年の二次アルミ塊の無償割当調整は0.975 × 0.091 = 0.088725 tCO2eなので、検証済みの実排出量が低い再溶解施設では、証書の必要数はゼロに近くなります。

一次地金とリサイクル材の両方を含む製品では、本格実施期間の体化排出量の算定方法に従い、実施規則(EU)2025/2547の方法により施設単位で算定します。EU域外の施設事業者は、計算に基づく方法か測定に基づく方法を選べます(同実施規則付属書II第B.2項)。


アルミニウムのCBAM分野別カード:付属書Iの項目数は14、2026年のデフォルト用ベンチマークは製品1トン当たり1.423 tCO2e、直接排出量は対象、間接排出量は対象外、温室効果ガスはCO₂とPFC。2025年にEUへのアルミニウム供給量が最も多かったノルウェーと第2位のアイスランドは、付属書IIIにより対象外の原産国です(Eurostat Comext DS-045409、2025年)。
出典:規則(EU)2023/956付属書I・II。ベンチマーク:実施規則(EU)2025/2620付属書第5.3項 · 2026年10月26日時点
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- 14:付属書Iの項目数 (CNコード単位)

- 1.423:2026年のデフォルト用ベンチマーク (製品1トン当たりのtCO₂e。一次アルミニウム地金(CNコード 7601))

証書の対象となる排出量

- 直接排出量:対象

- 間接排出量:対象外

- 温室効果ガス:CO₂とPFC

2025年にEUへのアルミニウム供給量が最も多かったノルウェーと第2位のアイスランドは、付属書IIIにより対象外の原産国です(Eurostat Comext DS-⁠045409、2025年)。

一次アルミニウムのCBAMコストは2026年にいくらになりますか

中国産の一次アルミ塊(CNコード 7601)をデフォルト値で2026年に輸入する場合、CBAMのコストは製品1トン当たり157.44ユーロです。

計算には、2026年第3四半期の公式価格(1 CO2換算トン当たり82.32ユーロ、2026年10月5日公表)を使います。中国のデフォルト値3.000に10%のマークアップを加えると3.300です。無償割当調整はCBAM係数97.5% × 一次アルミニウムのベンチマーク1.423 = 1.387425で、差し引き製品1トン当たり1.912575枚のCBAM証書が必要です。

計算式は、証書数=max[0,特定体化排出量-無償割当調整-第9条の炭素価格分]×質量です。無償割当調整は、CBAM係数×部門横断補正係数(CSCF)×CBAMベンチマークで求めます。CBAM係数は無償割当のうち維持される割合で、指令2003/87/EC第10a条第1a項が定め、規則(EU)2023/956第31条を通じて適用されます。

無償割当調整は製品1トン当たりの固定量です。このため、ベンチマークを上回る排出量は、マークアップ分も含めて全額が証書の対象になります。

無償割当の段階的な削減に伴い、デフォルト値で輸入するアルミ塊のコストがどう変わるかを、一次ルートの3つの原産国と二次ルートの日本について次の表に示します。証書価格は82.32ユーロで一定としています。

年 CBAM係数(維持される無償割当) デフォルト値のマークアップ 中国(3.000、ルートK) 「その他の国・地域」(2.203、ルートK) UAE(1.870、ルートK) 日本(0.360、ルートL)
2026年 97.5% 10% 157.44ユーロ 85.27ユーロ 55.12ユーロ 25.29ユーロ
2027年 95% 20% 185.07ユーロ 106.34ユーロ 73.44ユーロ 28.45ユーロ
2028年 90% 30% 215.62ユーロ 130.33ユーロ 94.69ユーロ 31.78ユーロ
2030年 51.5% 30% 260.72ユーロ 175.43ユーロ 139.79ユーロ 34.67ユーロ
2034年 適用なし 30% 321.05ユーロ 235.76ユーロ 200.12ユーロ 38.53ユーロ

製品1トン当たりのコスト=(デフォルト値+マークアップ-CBAM係数×ベンチマーク)× 82.32ユーロ。部門横断補正係数は100%です(実施決定(EU)2026/1862)。中国、「その他の国・地域」、UAEは一次ルート(K、ベンチマーク1.423)、日本は二次ルート(L、ベンチマーク0.091)で、いずれも実施規則(EU)2025/2621付属書I(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)の記載によります。2034年からは無償割当調整を差し引きません。ベンチマークは2027年からの輸入品について更新される可能性があるため、2027年以降の数値は目安です。計算は2026年11月4日に当サイトの計算ツールで行いました。

デフォルト値で申告した場合の負担は2026年の時点ですでに大きく、毎年増えていきます。最も大きな段差は2029年から2030年にかけてで、CBAM係数が77.5%から51.5%に下がります。適用除外国以外から一次アルミニウムを調達するEUの輸入者は、この段差に今から備え、製錬所ごとにデフォルト値と検証済みの実排出量を比べる必要があります。

付属書Iの一次ルートのアルミ塊のデフォルト値で最も高いのはモザンビークの3.198(2026年に製品1トン当たり175.37ユーロ)、最も低いのは1.700(同39.73ユーロ)で、トルコ、米国、インドネシアなど19の国別の表がこの値です。ロシアは2.160(81.38ユーロ)、インドとバーレーンはUAEと同じ1.870(55.12ユーロ)です。


アルミニウムでは、なぜ電力の間接排出量がCBAMの対象外なのですか

アルミニウム製錬の電力による間接排出量がCBAMの対象外なのは、EUの製錬所がEU ETS指令第10a条第6項に基づき、間接的な炭素コストの国家補助を受けているためです。

域内の生産者を補償しながら輸入品に間接排出量の負担を課せば、域内品と輸入品の扱いに構造的な不均衡が生じます。一次アルミニウムは製錬で大量の電力を使い、電力の炭素強度は供給する電力系統によって大きく異なります。石炭火力の比率が高い系統で製錬された一次アルミニウムを買うEUの輸入者は、実際には、CBAMの対象となる量をはるかに上回る排出量を伴う金属を輸入していることになります。

この差は「間接排出量の抜け穴」と呼ばれています。規則(EU)2023/956前文第65項は、付属書IIの製品の間接排出量に対象を広げるために必要な情報を収集するよう欧州委員会に求めており、その時期を「as soon as possible」(できる限り早く、当サイト仮訳)としています。

2026年11月4日時点で、アルミニウムは付属書IIに掲げられたままで、証書の対象は直接排出量だけです。2025年12月16日の欧州委員会の見直し報告書(COM(2025)783)は、間接排出量を対象にする5つの技術的な解決策を検討し、さらなる分析が必要だと結論づけました。提案が出されるとしても、2027年末の見直しの後になります。

対象を広げる場合は、EUの製錬所がEU ETS指令に基づいて受けている間接コストの補償と整合させる必要があります。現行の規則(EU)2023/956は、この補償とCBAMの負担を両立しないものとして扱っています。

欧州委員会の技術的な準備は続いています。DG TAXUDは2026年6月8日、CBAMの間接排出量に関する技術調査を公表し、間接排出量のデフォルト排出係数と、アルミニウム、鉄鋼、水素など現在除外されている部門への対象拡大の可否を検討しました。将来の提案の方向性を示す資料ですが、直接排出量だけを対象とするアルミニウムの現在の義務は変わりません(アルミニウムの間接排出量)。

部門ごとの対象範囲の違いを次の表にまとめます。セメントと肥料が間接排出量を含むのは、域内の生産者が同等の間接コストの補償を受けていないためです。

部門 直接排出量 間接排出量 付属書II(直接排出量のみ)
アルミニウム 対象 対象外 はい
鉄鋼 対象 対象外(凝結させた鉄鉱石、CNコード 2601 12 00を除く) はい
セメント 対象 対象 いいえ
肥料 対象 対象 いいえ
水素 対象 対象外 はい

PFC(パーフルオロカーボン)とは何で、CBAMではなぜ重要なのですか

パーフルオロカーボン(PFC)は、アルミニウムのCBAM申告でCO2と並んで算入しなければならない2つ目の温室効果ガスです。

PFCは、ホール・エルー法でアルミナを電解する際の「アノード効果」で発生します。電解浴のアルミナ濃度が臨界値を下回ると電解電圧が急上昇し、四フッ化炭素(CF4、地球温暖化係数(GWP)6,630)と六フッ化エタン(C2F6、GWP 11,100)が生じます。

PFCの排出原単位は施設によって大きく異なります。高度なプロセス制御を備えた新しい製錬所は、アノード効果の頻度をゼロ近くまで抑えています。制御システムが古い施設や、改修投資が採算に合わない施設では、金属1トン当たりで無視できない量のPFCが発生します。

CBAMの申告では、EUの輸入者は生産施設から検証済みのPFC排出量のデータを入手するか、実施規則(EU)2025/2621のデフォルト値を使います。デフォルト値には2026年に10%、2027年に20%、2028年以降に30%のマークアップが加わります。PFCの排出がデフォルト値より少ない施設にとっては、マークアップが上がるほど、検証済みデータを提供する経済的なメリットが大きくなります。PFCの算定は実施規則(EU)2025/2547付属書II第B.7項に従います(アルミニウムのPFC)。


一次アルミニウムと二次アルミニウム:CBAMのコスト差

リサイクルスクラップを再溶解する二次アルミニウムは、CBAMのデフォルト値でも実排出量でも、一次アルミニウムよりはるかに低いコストになります。

リサイクルスクラップは体化排出量ゼロとして扱われるため、リサイクル材を調達するEUの輸入者には構造的なコストの利点があります。デフォルト値でも同じ差が出ます。付属書Iでは国ごとに、アルミニウムの行に一次(K)か二次(L)のどちらか一つの生産ルートが記載されているためです。

2つの生産ルートを比べると、次の表のとおりです。

付属書Iの生産ルート デフォルト値用ベンチマーク(CNコード 7601) 原産国の例とデフォルト値 2026年のコスト(82.32ユーロ) 2030年のコスト(82.32ユーロ)
(K)一次(ホール・エルー法) 1.423 tCO2e/t 中国、3.000 tCO2e/t 157.44ユーロ 260.72ユーロ
(L)二次(リサイクルスクラップ) 0.091 tCO2e/t 韓国または日本、0.360 tCO2e/t 25.29ユーロ 34.67ユーロ

2030年の列は現在のベンチマークによる数値で、ベンチマークは2027年からの輸入品について更新される可能性があります(実施規則(EU)2025/2620前文第10項)。生産ルートは国の表で決まり、輸入者は選べません。

付属書Iの国別の表のうち、CNコード 7601に値がある68の表では、31がルートK、37がルートLで、「その他の国・地域」はルートKです。ルートKの国にある二次アルミニウムの生産者は、検証済みの実排出量を報告しない限り、一次ルートのデフォルト値で評価されます。逆に、日本のようにルートLの国では、一次地金を使う工場の製品も二次ルートのデフォルト値とベンチマークで評価されます。

実排出量で申告する場合、二次ルートのベンチマーク0.091が再溶解の排出量の大半を相殺するため、証書の必要数はゼロに近くなります。自動車、包装、建設の分野では、EUの輸入者が一次合金から二次合金への切り替えを進めています。CBAMは、この切り替えを促す価格シグナルを年々明確にしています(CBAMのスクラップの抜け穴)。

キャプション:82.32ユーロで計算すると、中国産の一次アルミ塊は2026年の157.44ユーロから2030年の260.72ユーロに、二次ルートのアルミ塊は25.29ユーロから34.67ユーロに上がります。


日本のアルミニウム製品とCBAM:二次ルート(L)の影響

付属書Iの日本の表では、アルミ塊(7601)からその他の製品(7616)までアルミニウムの24行すべてが二次ルート(L)で、デフォルト値で輸入される日本の製品はすべて二次ルートのベンチマークで評価されます。

EUが2025年に日本から輸入したCBAM対象のアルミニウム製品(付属書Iのコード)は1億9,497万ユーロ、4万2,260トンで、EU域外からの輸入に占める割合は金額ベースで0.64%、数量ベースで0.46%、順位は金額ベースで第23位、数量ベースで第29位です(ユーロスタット(Eurostat)Comext DS-045409、2025年(2026年10月12日抽出))。日本のCBAM対象製品全体(14億4,820万ユーロ)の約13.5%に当たります。

そのほぼすべてが加工品で、加工品だけで1億9,283万ユーロ、4万2,139トン、割合は金額ベースで1.39%、数量ベースで1.50%(第14位と第13位)です。アルミ塊は214万ユーロ、122トンにすぎません。2023年は2億1,918万ユーロ(3万560トン)、2024年は1億2,705万ユーロ(1万8,842トン)でした。

日本からの主なアルミニウム製品を2025年の金額順に並べると、次の表のとおりです(Eurostat Comext、2025年)。

CNコード(4桁) 製品 2025年の金額 2025年の数量
7606 板、シート、ストリップ(厚さ0.2mm超) 1億1,364万ユーロ 3万4,692トン
7607 はく(厚さ0.2mm以下) 3,012万ユーロ 3,624トン
7616 その他のアルミニウム製品 2,141万ユーロ 711トン
7604 棒、形材 1,025万ユーロ 1,492トン
7612 たる、缶、箱などの容器(容量300L以下) 759万ユーロ 464トン
7605 線 423万ユーロ 858トン
7610 構造物とその部分 275万ユーロ 216トン
7601 アルミ塊 214万ユーロ 122トン

アルミ板(7606)はEU域外輸入の金額ベースで2.89%、数量ベースで3.20%を占め、日本は金額ベースで第10位(数量ベースで第9位)の供給国です。アルミはく(7607)も金額ベースで第10位(2.30%/1.28%)です。

日本の主な製品について、デフォルト値で2026年と2030年に輸入した場合のコストは次のとおりです(82.32ユーロ一定、2026年11月4日に当サイトの計算ツールで計算)。

製品(CNコード) 日本のデフォルト値(tCO2e/t) ベンチマーク(B列、ルートL) 2026年の証書数(製品1トン当たり) 2026年のコスト(製品1トン当たり) 2030年のコスト(製品1トン当たり)
アルミ塊(7601 10 90) 0.360 0.091 0.307275 25.29ユーロ 34.67ユーロ
粉、フレーク(7603 10 00) 1.050 0.140 1.0185 83.84ユーロ 106.43ユーロ
棒(7604 29 10) 1.280 0.148 1.2637 104.03ユーロ 130.71ユーロ
板、シート、ストリップ(7606 12 99) 1.730 0.148 1.7587 144.78ユーロ 178.86ユーロ
はく(7607 19 90) 1.730 0.258 1.65145 135.95ユーロ 174.20ユーロ
容器(7612 90 80) 1.730 0.258 1.65145 135.95ユーロ 174.20ユーロ
その他の製品(7616 99 90) 1.730 0.148 1.7587 144.78ユーロ 178.86ユーロ

デフォルト値:実施規則(EU)2025/2621付属書I(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)。ベンチマーク:実施規則(EU)2025/2620付属書第5.3項。2030年はマークアップ30%、CBAM係数51.5%で計算した目安で、ベンチマークは2027年からの輸入品について更新される可能性があります。

JETROは2026年9月18日の記事で「アルミニウム関連については、日本のデフォルト値は既に極めて低い」と指摘しています。アルミ塊ではそのとおりです。しかしアルミ板(CNコード 7606 12 99)では、ルートLのベンチマーク0.148しか差し引けないため、2026年のコストは日本が144.78ユーロで、デフォルト値の高いUAE(2.660、121.68ユーロ)、トルコ(2.714、126.57ユーロ)、米国(2.730、128.02ユーロ)を上回ります。

この差はCBAM係数が下がるにつれて縮まり、やがて逆転します。82.32ユーロ一定、現在のベンチマーク(2027年からの輸入品について更新される可能性があります)で、日本のアルミ板は2028年に174.17ユーロとUAEの174.64ユーロにほぼ並び、2030年には178.86ユーロでUAEの221.71ユーロを下回ります。日本の輸出者から見た対応策は日本のアルミニウム輸出とEU CBAMで説明しています。


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日本の炭素価格はアルミニウムのCBAMで控除されますか

2026年11月4日時点で、日本の炭素価格はEU CBAMの第9条で認められておらず、控除の実施規則も案の段階です。

第三国で支払われた炭素価格の控除(第9条)に関する実施規則案は2026年5月13日に公表され、意見募集は2026年6月10日に締め切られましたが、2026年11月4日時点で未採択です。どの国の炭素価格もまだ認められていません。控除の対象は実際に支払われた炭素価格に限られ、リベートなどの補償は差し引かれます(第9条第1項)。

アルミニウムでは電力の間接排出量を申告しないため、電力料金に含まれる炭素コストは控除の根拠になりません。

日本の排出量取引制度(GX-ETS)は、2026年度(2026年4月から2027年3月)から、直接排出量が前3年度平均で10万トン以上の事業者に義務づけられました。ただしGX-ETSの排出枠は無償で割り当てられ、列挙された部門(鉄鋼、セメント、電力、製紙、石油精製)はベンチマーク方式、それ以外の部門はグランドファザリング方式です(ICAP)。欧州委員会の日本語ガイダンスは「排出量取引制度の場合、無償割当はリベートとみなされる」と説明しています。

まだ答えの出ていない論点は、次の3つです。

  • 欧州委員会がGX-ETSを「実際に支払われた」炭素価格として扱うか、無償割当分をどう評価するか(JETROも同じ論点を挙げています)
  • 日本の年度(4月から3月)を、CBAMの暦年にどう対応させるか
  • 上流で課され燃料価格に転嫁される地球温暖化対策のための税(CO2 1トン当たり289円、環境省)が、施設の事業者が支払ったものとみなされるか

欧州委員会は2027年から国ごとに年次のデフォルト炭素価格を定めることができ、デフォルト値で申告する場合はこれを参照して控除を請求できます(第9条第4項)。日本についてはまだ定められていません。英国は2026年8月27日、GX-ETSを英国CBAMの適格炭素価格制度(QCPS)の暫定リストに載せましたが、EU CBAMの扱いとは別です(CBAMの炭素価格控除、第9条の解説)。


CBAMの対象となるアルミニウムのCNコードと原産国

アルミニウムの出荷がCBAMの義務の対象になるのは、製品が規則(EU)2023/956付属書IのCNコードに当たり、かつ輸入者のCBAM対象製品の年間累積正味重量が50トンを超える場合です。

電力と水素を除き、輸入者ごとに暦年の累積正味重量が50トン以下であれば義務が免除されます(第2a条、付属書VII第1項)。50トン基準はすべてのCNコードとすべての原産国を合計して輸入者ごとに数え、免除は税関申告で申告する必要があります。付属書Iのアルミニウムは14項目で、CBAM対象製品リストに公式の記載をそのまま掲載しています。

CBAMの対象となるアルミニウムのCNコードはどれですか

2026年にCBAMの義務の対象となる付属書Iのアルミニウムの14項目は、次のとおりです。

  • 7601:アルミニウムの塊(7601 10 合金にしてないもの、7601 20 合金)
  • 7603:アルミニウムの粉およびフレーク
  • 7604:アルミニウムの棒および形材
  • 7605:アルミニウムの線
  • 7606:アルミニウムの板、シートおよびストリップ(厚さ0.2mm超)
  • 7607:アルミニウムのはく(厚さ0.2mm以下)
  • 7608:アルミニウムの管
  • 7609 00 00:アルミニウム製の管用継手
  • 7610:アルミニウム製の構造物およびその部分
  • 7611 00 00:アルミニウム製の貯蔵タンク、たる、バットなど(容量300L超)
  • 7612:アルミニウム製のたる、ドラム、缶、箱など(容量300L以下)
  • 7613 00 00:アルミニウム製の圧縮ガス用または液化ガス用の容器
  • 7614:アルミニウム製のより線、ケーブル、組ひもなど(電気絶縁をしてないもの)
  • 7616:その他のアルミニウム製品

第76類のうち、7602(アルミニウムのくず)と7615(食卓用品、台所用品、家庭用品)の2項目は付属書Iの対象外です。製品の分類によって義務の有無そのものが決まるため、申告の前にアルミニウムのCNコードとCNコード検索ツールで対象かどうかを確認してください。

アルミニウムでCBAMの影響が最も大きい原産国は中国ですか

金額ベースでは、CBAMの対象となる原産国の中で中国が最大です。EUが2025年に中国から輸入したCBAM対象のアルミニウム製品(付属書Iのコード)は約32億5,000万ユーロ、約61万3,000トンで、対象外の国を含めた全体でもノルウェーに次ぐ第2位です(ユーロスタット(Eurostat)Comext DS-045409、2025年(2026年10月12日抽出))。数量ベースでは第5位で、EU域外からの輸入の6.7%を占めます。

そのうち一次地金はわずかで、中国からのアルミ塊(CNコード 7601)は約1万2,000トンでした。中国の影響が大きいのは半製品と完成品です。中国の生産者から買うEUの輸入者にとっての論点は、製錬所の検証済み実排出量が、中国のアルミ塊のデフォルト値3.000(付属書Iで2番目に高い値)を下回るかどうかです。中国の全体像はCBAMと中国(英語)にあります。

2025年に数量ベースで最大だったのはノルウェー(約44億7,000万ユーロ、約155万トン)とアイスランド(約22億ユーロ、約82万1,000トン)で、スイスは約16億7,000万ユーロを供給しました(Eurostat Comext、2025年)。3か国はいずれも付属書III第1項によりCBAMの対象外です。対象外の原産国は、EU域外からのCBAM対象のアルミニウム輸入の数量ベースで29.3%を占めました。

CBAMでのアルミニウムの扱いは鉄鋼と似ていますか

CBAMでは、アルミニウムも鉄鋼部門も付属書IIの製品で、直接排出量だけが対象となり、電力の間接排出量は除外されます。構造上の違いは、アルミニウムではPFCも算入する点です。鉄鋼の製造ではPFCは発生しません。製錬に使う電力の量は製鋼よりはるかに多いため、間接排出量の除外の意味はアルミニウムのほうが大きくなります。

二次アルミニウムはCBAMの対象外ですか

二次アルミニウムも分類上はCBAMの対象ですが、リサイクルスクラップの投入分は体化排出量ゼロとして扱われます。2026年の二次アルミ塊の無償割当調整は0.975 × 0.091 = 0.088725 tCO2eなので、検証済みの実排出量が低ければ、証書の必要数はゼロに近くなります。

デフォルト値を使う場合は、国別の表によって結果が異なります。韓国や日本のようなルートLの原産国ではアルミ塊のデフォルト値が0.360で、2026年のコストは2026年第3四半期の価格82.32ユーロで製品1トン当たり25.29ユーロです。申告書の提出義務は残り、排出量のデータは検証を受けるか、デフォルト値を使う必要があります。

EUの輸入者はアルミニウムのCBAMコストをどう見積もればよいですか

EUの輸入者は、4つの数値からコストを見積もることができます。製品1トン当たりのデフォルト値または検証済みの排出量、デフォルト値を使う場合のマークアップ、CNコードと生産ルートに応じたCBAMベンチマーク、公式の証書価格です。CBAM計算ツールは6部門すべてに対応し、法定の計算式でコストを算出します。規則(EU)2025/2621および2025/2620の公式デフォルト値とベンチマークに基づく推計です。拘束力のある数値は貴社のCBAM申告書に記載される数値です。

納付しなかったCBAM証書1枚につき、EU ETSの超過排出罰金(インフレ調整前で1トン当たり100ユーロ、欧州消費者物価指数で調整)と同額の罰金が科されます(第26条第1項)。罰金を支払っても証書の納付義務は残ります(第26条第3項)。認可CBAM申告者でない者がこの規則の義務を守らずに製品をEUの関税領域に持ち込んだ場合は、その3倍から5倍(インフレ調整前で300から500ユーロ)の罰金が科されます(第26条第2項)。どちらの罰金にも上限はありません。

日本のアルミニウム輸出者はどのような検証を準備すればよいですか

検証は実排出量で申告する場合に必須で(規則(EU)2023/956第8条第1項)、デフォルト値での申告には不要です。国家認定機関の登録簿で確認できる認定は2026年10月13日時点で5件で、このうちSGS ICS Italia S.r.l.(イタリアの国家認定機関Accrediaが認定)は、アルミ塊(未加工アルミニウム)の活動グループを認定範囲に含みません。5件の中に日本の法人はありません。また、2026年10月23日時点で欧州委員会の認定検証機関リストは未公表です(CBAM認定検証機関)。

英国CBAMと川下製品への対象拡大はアルミニウムに関係しますか

英国CBAMはEU CBAMとは別の税制度で、2027年1月1日からアルミニウムを含む5部門の直接排出量に課税します。英国が2026年10月16日に公表したアルミニウムの試算税率はCO2換算トン当たり9.79ポンドで、納税義務を生じない参考値です(英国CBAM、英語)。

川下製品への対象拡大は欧州委員会の提案(COM(2025)989)で、法律ではありません。鉄鋼とアルミニウムの川下製品を2028年1月1日から対象に加える案です。2026年10月20日の第1回三者協議(トリローグ)では全体合意に至らず、アルミニウム製品の少量免除基準(デミニミス)を含む4つの論点が技術協議に回されたと報じられています(川下製品への対象拡大)。

CBAMについて日本で相談できる窓口はありますか

経済産業省は「炭素国境調整措置」のページ(2026年6月1日更新)で概要と関連資料を公開し、JETROは貿易投資相談の窓口、算定実務マニュアル(2026年3月)、セミナーを提供しています。2026年11月4日時点で、日本の輸出者向けのCBAM専用の補助金は確認できません。日本の状況はCBAMと日本に、支援事業者の紹介はCBAMの相談窓口(無料)から依頼できます。


よくある質問:CBAMとアルミニウム

CBAMはリサイクルアルミニウムにも適用されますか

CBAMは、一次か再生かにかかわらず、対象のCNコードに当たるすべてのアルミニウムの輸入に適用されます。リサイクルスクラップの投入分は体化排出量ゼロとして扱われるため、検証済みの実排出量で申告する二次アルミニウムの証書の必要数は、実際にはゼロに近くなります。

ただし、プレコンシューマー材とポストコンシューマー材の区別がCBAMのスクラップの抜け穴を生んでいます。ポストコンシューマーのスクラップの比率は、現在のところ国境で検証できません。年間50トン基準を超えるEUの輸入者には申告義務が残ります。

一次アルミニウムのCBAMデフォルト値はいくつですか

一次アルミ塊(CNコード 7601)のデフォルト値は、実施規則(EU)2025/2621付属書I(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)で原産国ごとに定められています。中国が製品1トン当たり3.000 tCO2e、ロシアが2.160、インド、UAE、バーレーンが1.870、トルコが1.700、「その他の国・地域」が2.203です。値は直接排出量だけを対象とします。マークアップは2026年に10%、2027年に20%、2028年から30%が加わり、デフォルト値を使うEUの輸入者の負担は段階的に増えます。

CBAMの対象外となるアルミニウムの輸出国はどこですか

アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイスと、ビュージンゲン、ヘルゴラント、リヴィーニョ、セウタ、メリリャの各地域を原産とする製品は、規則(EU)2023/956付属書III第1項によりCBAMの対象外です(第2条第4項)。EU加盟国間の取引はそもそも対象になりません。

中国、UAE、バーレーン、ロシア、インド、トルコ、日本を含むその他のアルミニウム輸出国は、2026年1月1日に始まった本格実施期間のCBAMの対象です。韓国(英語)も対象で、2026年11月4日時点で、K-ETSを含め、どの国の炭素価格も第9条で認められていません。

日本産のアルミニウムは一次と二次のどちらのデフォルト値で評価されますか

日本産のアルミニウムは、デフォルト値で申告する場合、すべて二次ルート(L)で評価されます。付属書Iの日本の表は、アルミ塊(7601)からその他の製品(7616)まで24行すべてにルートLを記載しています。アルミ塊のデフォルト値は0.360、アルミ板(7606)は1.730で、差し引くベンチマークはそれぞれ0.091と0.148です。

2026年のコストは、2026年第3四半期の価格82.32ユーロで、アルミ塊が製品1トン当たり25.29ユーロ、アルミ板が144.78ユーロです。国別の一覧はCBAMのデフォルト値にあります。


データ出典:規則 (EU) 2023/956 · 規則 (EU) 2025/2083(オムニバス)· 実施規則 2025/2621 · EEX経由のEU ETSデータ。法的助言ではありません。