CBAMの肥料CNコード一覧:第28類と第31類の対象27コード、日本のデフォルト値とコスト

CBAMの肥料CNコードを一覧で解説します。

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図:付属書Iの肥料5項目。硝酸(2808 00 00)、硝酸カリウム(2834 21 00)、3102、3105はCO2とN2Oが対象、アンモニア(2814)はCO2のみ。PK肥料の3105 60 00は対象外です。

EU炭素国境調整措置(CBAM、JETROや欧州委員会の和訳では「炭素国境調整メカニズム」)で対象となる肥料のCNコードは、「炭素国境調整メカニズム(CBAM)を規定する、2023年5月10日の欧州議会および理事会規則(EU)2023/956」の付属書Iに定める5項目で決まります。第28類のCNコード 2808 00 00、2814、2834 21 00と、第31類の3102、3105(3105 60 00を除く)です。

実施規則は、この5項目に属する27の8桁コードごとにデフォルト値とベンチマークを定めています。無水アンモニアから窒素・りん・カリウムを含む化成肥料まで、主な窒素系の製品はすべて対象です。

デフォルト値を定める実施規則の付属書Iには日本独自の表があり、日本産尿素(CNコード 3102 10 19)のデフォルト値は製品1トン当たり1.520 tCO2e(CO2換算トン)です。2026年第3四半期の公式価格(1 CO2換算トン当たり82.32ユーロ、2026年10月5日公表)では、2026年輸入分のCBAM証書コストは製品1トン当たり53.98ユーロになります。

EUの輸入者が、2027年9月30日に提出期限を迎える最初のCBAM申告書を準備する際、まず行うべきなのは、輸入品のコードが規則(EU)2023/956の付属書Iに含まれるかどうかの確認です。本ページでは、対象の全コード、対象外の製品、日本のHSコードとの対応、日本からの輸出の実態、本格実施期間(2026年1月1日から)の体化排出量の算定方法を順に説明します。

キャプション:第28類はアンモニアと無機の前駆体、第31類は本格実施期間にCBAMの対象となる窒素肥料の完成品を扱います。


CBAMの肥料CNコードとは

CBAMの肥料CNコードは、規則(EU)2023/956付属書Iの肥料の5項目に含まれるコードで、製造時のCO2とN2O(一酸化二窒素)の体化排出量がCBAMの対象になる製品を特定します。

付属書Iの肥料の5項目は、次のとおりです。

  • 第28類(無機化学品):硝酸(2808 00 00)、アンモニア(項2814)、硝酸カリウム(2834 21 00)
  • 第31類(肥料):窒素質肥料(項3102)、混合肥料その他の肥料(項3105、ただし3105 60 00を除く)

対象が第28類と第31類にまたがるのは、製造チェーンの段階が異なるためです。アンモニア(CNコード 2814)は単独で取引される化学品であると同時に、すべての窒素肥料の上流の前駆体です。EUの輸入者は、これらのコードの製品を輸入すると、無償割当調整を差し引いた体化排出量に応じてCBAM証書を納付します。

輸入者にとって最初の義務は、認可CBAM申告者としての認可を受けることです。本格実施期間に暫定的に輸入を続けるための申請期限(2026年3月31日、第17条第7a項)は、すでに過ぎています。全部門に共通する仕組みはEU炭素国境調整措置(CBAM)の解説で説明しています。

肥料では、直接排出量(化石燃料の燃焼とハーバー・ボッシュ法の合成反応による排出)と、間接排出量(製造時の電力消費による排出)の両方が価格の対象です。肥料は、直接排出量だけを対象とする部門を定めた規則(EU)2023/956付属書IIに記載されていないためです。


第28類のCBAM肥料CNコード:アンモニア、硝酸、硝酸カリウム

第28類には付属書Iの3項目と4つの8桁コードがあり、肥料の製造チェーンの上流にある無機の前駆体が該当します。

これらの製品は、窒素肥料の製造に直接使われるか、ハーバー・ボッシュ法や硝酸の製造による大きな体化排出量を持つため、対象になっています。4つのコードの「その他の国と地域(Other Countries and Territories)」の表のデフォルト値、日本の表のデフォルト値、Column Bのベンチマーク、日本産の2026年のコストは次のとおりです。

CNコード 製品 対象の温室効果ガス 排出の範囲 デフォルト値(その他の国と地域) 日本のデフォルト値 ベンチマーク(Column B) 日本産の2026年のコスト(製品1トン当たり)
2808 00 00 硝酸、硫硝酸 CO2+N2O 直接+間接 2.810 2.190 0.582 135.37ユーロ
2814 10 00 無水アンモニア CO2 直接+間接 3.130 2.190 1.522 59.92ユーロ
2814 20 00 アンモニア水 CO2 直接+間接 0.960 0.660 0.457 18.19ユーロ
2834 21 00 硝酸カリウム CO2+N2O 直接+間接 2.330 1.870 0.626 105.23ユーロ

単位はtCO2e(製品1トン当たり)。デフォルト値は実施規則(EU)2025/2621付属書I(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)のマークアップ前の総排出量、ベンチマークは実施規則(EU)2025/2620付属書第5.3項です。コストはデフォルト値、マークアップ1%、2026年第3四半期の価格82.32ユーロで、2026年11月4日に当サイトの計算ツールで計算しました。

無水アンモニア(2814 10 00)のデフォルト値は、その他の国と地域の表で製品1トン当たり3.130 tCO2eで、自国の表を持つ国ではより低く、エジプト2.050、日本2.190、ロシア連邦2.260です。この値は、天然ガスをアンモニア合成用の水素原料に変える水蒸気メタン改質(SMR)のエネルギー原単位を反映しています。

2026年第3四半期の公式価格82.32ユーロでは、デフォルト値で輸入したエジプト産無水アンモニアのコストは、2026年輸入分で製品1トン当たり48.28ユーロです。計算は、2.050 × 1.01(肥料のマークアップ) = 2.0705、無償割当調整 0.975 × 1.00 × 1.522 = 1.48395、差し引き製品1トン当たり0.58655枚のCBAM証書です。

日本産では、2.190 × 1.01 = 2.2119、無償割当調整 1.48395、差し引き製品1トン当たり0.72795枚のCBAM証書で、製品1トン当たり59.92ユーロです。その他の国と地域の表が適用される場合は、同じ方法で138.08ユーロになります。詳しくはアンモニアのCBAMをご覧ください。

硝酸(2808 00 00)は、特に注意が必要なコードです。硝酸の製造で出るN2Oの地球温暖化係数は265(IPCC第5次評価報告書(AR5))で、削減されていないN2Oはわずかな量でもCBAMの計算に大きく影響します。触媒によるN2O削減設備を持つ硝酸工場は排出を大幅に減らせるため、削減を検証済みの数値で示せる輸出者は、デフォルト値を使う輸出者より構造的に有利です。


第31類のCBAM肥料CNコード:尿素、硝安、化成肥料

第31類には付属書Iの2項目があり、項3102に14の8桁コード、項3105に9つの対象コードがあります。

この2項目が、CBAMの対象となる肥料の取引量の大部分を占めます。第31類の対象コードについて、その他の国と地域の表のデフォルト値、日本の表のデフォルト値、Column Bのベンチマーク、日本産の2026年のコストを次の表に示します。

CNコード 製品 デフォルト値(その他の国と地域) 日本のデフォルト値 ベンチマーク(Column B) 日本産の2026年の証書数(製品1トン当たり) 日本産の2026年のコスト(製品1トン当たり)
3102 10 12 尿素水溶液(尿素31.8%以上33.2%以下) 0.900 0.500 0.304 0.2086 17.17ユーロ
3102 10 15 尿素水溶液(尿素33.2%超55%以下) 1.470 0.810 0.503 0.327675 26.97ユーロ
3102 10 19 その他の尿素(乾燥状態で窒素45%超) 2.720 1.520 0.902 0.65575 53.98ユーロ
3102 10 90 尿素(窒素45%以下) 2.660 1.480 0.882 0.63485 52.26ユーロ
3102 21 00 硫酸アンモニウム(硫安) 0.970 0.690 0.414 0.29325 24.14ユーロ
3102 29 00 硫酸アンモニウムと硝酸アンモニウムの複塩・混合物 1.620 1.300 0.566 0.76115 62.66ユーロ
3102 30 10 硝酸アンモニウムの水溶液 1.790 1.440 0.508 0.9591 78.95ユーロ
3102 30 90 その他の硝酸アンモニウム(硝安、AN) 2.750 2.210 0.767 1.484275 122.19ユーロ
3102 40 10 硝安石灰(CAN)、窒素28%以下 2.360 1.910 0.688 1.2583 103.58ユーロ
3102 40 90 硝安石灰(CAN)、窒素28%超 2.360 1.910 0.688 1.2583 103.58ユーロ
3102 50 00 硝酸ナトリウム 4.390 3.420 2026年と2027年の生産年は0.701、2028年から2030年は0.685 2.770725 228.09ユーロ
3102 60 00 硝酸カルシウムと硝酸アンモニウムの複塩・混合物 2.310 1.860 0.633 1.261425 103.84ユーロ
3102 80 00 尿素と硝酸アンモニウムの混合物の溶液(UAN) 1.960 1.470 0.625 0.875325 72.06ユーロ
3102 90 00 その他の窒素質肥料 2.280 1.570 0.847 0.759875 62.55ユーロ
3105 10 00 第31類の物品で、錠剤状のもの又は総重量10kg以下の包装にしたもの 1.000 0.790 0.376 0.4313 35.50ユーロ
3105 20 10 窒素・りん・カリウムの3要素を含む肥料(NPK)、窒素10%超 1.230 1.000 0.434 0.58685 48.31ユーロ
3105 20 90 同(NPK)、窒素10%以下 0.840 0.690 0.319 0.385875 31.77ユーロ
3105 30 00 りん酸水素二アンモニウム(DAP) 0.780 0.540 0.339 0.214875 17.69ユーロ
3105 40 00 りん酸二水素アンモニウム(MAP) 0.510 0.360 0.173 0.194925 16.05ユーロ
3105 51 00 その他の窒素・りんの2要素を含む肥料(硝酸塩とりん酸塩を含むもの) 1.660 1.350 0.548 0.8292 68.26ユーロ
3105 59 00 その他の窒素・りんの2要素を含む肥料 0.930 0.660 0.391 0.285375 23.49ユーロ
3105 90 20 その他の肥料、窒素10%超 1.570 1.270 0.476 0.8186 67.39ユーロ
3105 90 80 その他の肥料 0.820 0.670 0.248 0.4349 35.80ユーロ

デフォルト値:実施規則(EU)2025/2621付属書I(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)、マークアップ1%を加える前の総排出量、単位はtCO2e(製品1トン当たり)。ベンチマーク:実施規則(EU)2025/2620付属書第5.3項。日本産のコストは2026年輸入分、デフォルト値、2026年第3四半期の価格82.32ユーロで、2026年11月4日に当サイトの計算ツールで計算しました。自国の表を持つ国には、その国の値が適用されます。

尿素(3102 10)は、EUのCBAM対象肥料の輸入で最大の製品群です。2025年のEUのCBAM対象製品(付属書Iのコード)の輸入では、EU域外からの肥料2,004万トンのうち、尿素が741万トンを占めました(ユーロスタット(Eurostat)Comext DS-045409、2025年(2026年10月12日抽出))。主なコードの3102 10 19のデフォルト値は、その他の国と地域の表で製品1トン当たり2.720 tCO2e、国別の表ではエジプト1.390、ロシア連邦1.470、日本1.520です。

2026年第3四半期の公式価格82.32ユーロでは、デフォルト値で輸入したエジプト産尿素のコストは、2026年輸入分で製品1トン当たり43.17ユーロです。1.390 × 1.01から無償割当調整 0.975 × 0.902を差し引くと、製品1トン当たり0.52445枚のCBAM証書が残ります。日本産尿素は、1.520 × 1.01 = 1.5352、無償割当調整 0.87945、差し引き0.65575枚で、製品1トン当たり53.98ユーロです。詳しくは尿素のCBAMをご覧ください。

2025年のEU域外からの尿素の輸入(数量ベース)では、エジプトが44.3%、ロシアが25.7%で、上位2か国でした(Eurostat Comext、2025年)。2026年11月4日時点で、第9条に基づいて炭素価格が認められた国はなく、どちらの原産国にも炭素価格による減額はありません。

項3105には特に注意が必要です。付属書Iは項全体を対象とし、**3105 60 00(りん及びカリウムの2要素を含む肥料)**だけを除いています。判断の基準は窒素含有量ではなくCNコードで、3105 10 00には錠剤状または総重量10kg以下の包装の第31類の物品がすべて入り、3105 90 80には窒素をほとんど、またはまったく含まない肥料も含まれます。

項3105の製品について実排出量で報告する生産者は、実施規則(EU)2025/2547(式65)に従い、含まれる窒素1キログラム当たりで体化排出量を算定します。肥料部門全体の義務、コストの推移、供給網の背景は、CBAMの肥料部門ガイドで詳しく説明しています。


日本のHSコードからCBAMの肥料CNコードを特定する方法

日本の輸出者が確認できるのはHSコードの上6桁までで、CBAMの対象かどうかを最終的に決めるのは、EUの輸入者が税関申告に記載する8桁のCNコードです。

日本の輸出統計品目表は、世界共通のHSコード6桁に日本独自の3桁を加えた9桁の番号を使います。EUのCN(合同関税品目分類表)は、同じ6桁にEU独自の2桁を加えた8桁です。上6桁は一致しますが、7桁目以降は日本とEUが別々の基準で細分しているため、日本の9桁の番号から8桁のCNコードを機械的に導くことはできません。

肥料について、CBAMの判断に影響する6桁から8桁への主な細分は次のとおりです(CNの区分は、上表の実施規則(EU)2025/2621付属書Iの各行による)。

HSコード(6桁) 8桁のCNコード 分かれる基準 輸出者が買い手に伝えるべき情報
3102.10(尿素) 3102 10 12、3102 10 15、3102 10 19、3102 10 90 水溶液かどうか、水溶液中の尿素の重量比(31.8%から33.2%、33.2%超55%以下)、乾燥状態の窒素含有量(45%超か以下か) 製品の形状、尿素濃度、窒素含有量
3102.30(硝安) 3102 30 10、3102 30 90 水溶液かどうか 製品の形状
3102.40(硝安石灰) 3102 40 10、3102 40 90 窒素含有量28%以下か超か 窒素含有量
3105.20(NPK化成肥料) 3105 20 10、3105 20 90 乾燥状態の窒素含有量10%超か以下か 窒素含有量(保証成分)
3105.90(その他の肥料) 3105 90 20、3105 90 80 窒素含有量10%超か以下か 窒素含有量
3105.60(PK肥料) 3105 60 00 付属書Iの対象外 窒素を含まないこと

デフォルト値は8桁ごとに異なります。たとえば日本のNPK化成肥料は、窒素10%超(3105 20 10)なら1.000、10%以下(3105 20 90)なら0.690で、2026年のコストは製品1トン当たり48.31ユーロと31.77ユーロです。窒素含有量を出荷書類に明記しておけば、EUの輸入者は正しいコードとデフォルト値を選べます。

日本の輸出者が分類で誤りやすい点は、次の4つです。

  1. 「化成肥料」「液体肥料」「有機入り肥料」などの日本の呼び名では決まりません。 CBAMの対象かどうかは、含まれる要素(窒素、りん、カリウム)、形状、包装で決まるCNコードで判断します。
  2. 総重量10kg以下の包装は、成分にかかわらず3105 10 00になります。 家庭園芸用などの小袋は、りん酸質肥料やカリ質肥料であってもこのコードに入り、CBAMの対象です。
  3. 窒素を含まない3105 60 00だけが項3105の例外です。 窒素を少しでも含む混合肥料は、3105 20、3105 51、3105 59、3105 90のいずれかに入り、対象になります。
  4. 6桁が同じでも8桁でデフォルト値が変わります。 尿素水溶液(3102 10 12)の日本のデフォルト値0.500と、粒状尿素(3102 10 19)の1.520は、約3倍の差があります。

分類に迷う場合、EUの輸入者は加盟国の税関に拘束的関税分類情報(BTI)を申請できます(連合関税法典、規則(EU)952/2013第33条)。対象コードはCBAM対象製品リストとCBAM CNコード検索ツールでも確認できます。


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日本からEUへの肥料輸出:CNコード別の実態

EUが2025年に日本から輸入したCBAM対象の肥料は1,431.2トン、254万352ユーロで、その92.0%(数量ベース)がNPK化成肥料(CNコード 3105 20)でした。

日本はCBAM対象の肥料で、金額、数量ともにEU域外の第35位の供給国です。EU域外からの輸入に占める割合は、金額ベースで0.03%、数量ベースで0.01%でした(ユーロスタット(Eurostat)Comext DS-045409、2025年(2026年10月12日抽出))。CNコード別の内訳は次のとおりです。

CNコード(6桁または8桁) 製品 2023年の数量 2024年の数量 2025年の数量 2025年の金額 EU域外輸入に占める割合(2025年、金額ベース)
3105 20 NPK化成肥料 938.1トン 866.8トン 1,316.3トン EUR 1,988,339 0.20%
3105 10 錠剤状または総重量10kg以下の包装の肥料 21.5トン 19.5トン 33.6トン EUR 239,510 0.98%
3105 90 その他の肥料 29.9トン 27.4トン 12.2トン EUR 141,704 0.17%
3102 10 尿素 5,020.1トン 561.6トン 31.8トン EUR 64,964 0.01%未満
2808 00 00 硝酸 0.1トン 1.4トン 0.2トン EUR 51,401 0.35%
3105 30 DAP 0トン 0トン 17.9トン EUR 32,161 0.01%未満
3105 40 MAP 0トン 0トン 16.7トン EUR 20,990 0.01%未満
その他(3102 21、3102 30、3102 50、3102 90、2814) 硫安、硝安、硝酸ナトリウム、その他の窒素質肥料、アンモニア 27.0トン 9.2トン 2.5トン EUR 1,283 0.01%未満
合計 6,036.8トン 1,485.9トン 1,431.2トン EUR 2,540,352 0.03%

数量は製品の正味重量。2023年と2024年の「その他」には、2025年に取引のなかった硝酸カリウム(2834 21 00)と項3105の他のコードを含みます。0トンの行でも金額が記録されている場合があります(0.1トン未満の取引)。2023年は端数処理のため、各行の合計が合計欄と0.1トン異なります。

尿素は2023年の5,020.1トンから2025年には31.8トンへと99.4%減り、日本の対EU肥料輸出は、ほぼ化成肥料と小口の特殊な製品だけになりました。2025年の平均単価(金額÷数量、当サイト計算)は、日本産のNPK化成肥料が製品1トン当たり約1,511ユーロで、EU域外からの平均の約435ユーロの約3.5倍です。

小袋の3105 10は日本産が約7,128ユーロ(EU域外平均約2,745ユーロ)、3105 90は約1万1,615ユーロ(同約1,287ユーロ)でした。これらの数字は、日本の対EU肥料輸出が汎用の大量品ではなく、高単価の少量品を中心としていることを示しています。

この構造のもとでは、CBAMの負担の意味合いも変わります。日本産のNPK化成肥料のCBAMコスト(2026年、デフォルト値)は、窒素10%超の3105 20 10でも製品1トン当たり48.31ユーロで、2025年の平均単価の約3.2%です。一方、EUの輸入者が1社で扱う量は小さくなりがちで、50トン基準との関係が重要になります。

電力と水素を除き、輸入者ごとに暦年の累積正味重量が50トン以下であれば義務が免除されます(第2a条、付属書VII第1項)。免除は税関申告で申告する必要があります。50トンは肥料だけでなく、鉄鋼やアルミニウムなどすべてのCBAM対象製品を合算した量です。日本産の肥料を買うEUの輸入者が他のCBAM対象製品も輸入し、合計が50トンを超える場合は、肥料が少量でも義務を負います。

日本の肥料メーカーや商社自身に、CBAMの法的な義務はありません。CBAM申告書の提出とCBAM証書の納付は、EUの輸入者またはその間接的通関代理人が負います。輸出者は、CBAM登録簿内の事業者用ポータル(O3CI)に登録して、検証済みのデータを買い手と共有できます。輸出者の視点は日本の肥料輸出とEU CBAMで詳しく説明しています。


CBAMの対象外となる肥料のCNコード

肥料と関連の深い製品のうち3つの区分はCBAMの対象外で、これらを把握しておけば、誤った分類や不要な申告を防げます。

対象外の区分は、次のとおりです。

  • 3105 60 00(りん及びカリウムの2要素を含む肥料):付属書Iが項3105の中で名指しで除いている唯一のコードです
  • りん酸、りん酸質肥料、カリ質肥料(第28類の項2809、第31類の項3103と項3104):付属書Iに記載がありません。ただし、錠剤状または総重量10kg以下の包装で3105 10 00に分類される場合は対象です
  • 肥料の施用で土壌から出るN2O:窒素肥料を農地に施用したときに出るN2Oは世界的に大きな温室効果ガスの排出源ですが、現行の規則ではCBAMの対象外です。算定するのは製造段階の排出だけです

動物性または植物性の肥料(項3101)も付属書Iに記載がなく、そのままではCBAMの義務を生じません。ここでも、錠剤状または総重量10kg以下の包装にすると3105 10 00に分類されます。

50トン基準は規則(EU)2025/2083(CBAM簡素化規則)による改正で導入され、すべてのCBAM対象製品を合算した輸入者ごとの年間正味重量で判断します。暦年の合計が50トン以下の輸入者は、認可と申告の義務を免除され、免除を税関申告で申告します。少量の出荷との関係はCBAMの50トン基準(英語)で説明しています。

キャプション:デフォルト値は、窒素肥料の種類と原産国によって大きく異なります。


肥料のCNコードごとの体化排出量はどのように算定されますか

肥料のCNコードの体化排出量は、製造施設の検証済みの実排出量で算定し、実排出量のデータがない場合は、実施規則(EU)2025/2621(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)のデフォルト値を使います。

肥料のデフォルト値のマークアップは、総排出量のデフォルト値に対して毎年1%です。マークアップのある他の部門では、2026年10%、2027年20%、2028年以降30%です。体化排出量の定義は規則(EU)2023/956第3条第22号にあります。

マークアップは無償割当調整の前に加えられるため、マークアップ分には証書価格が満額でかかりますが、1%なので金額は小さくなります。検証済みの実排出量を用意する効果は、デフォルト値と施設の実際の排出量の差で決まり、その差が最も大きくなるのは、その他の国と地域の表が適用される原産国です。日本のように自国の表がある国では、その表の値と比べます。

生産者は、実施規則(EU)2025/2547の式65と式66に従い、排出量を各製品の窒素含有量に応じて配分します。すべての肥料のCNコードで、直接排出量と間接排出量の両方が計算に入ります。

直接排出量の主な発生源は、改質工程での天然ガスの燃焼、尿素の合成に取り込まれるプロセスCO2、硝酸の製造で出るN2Oです。間接排出量は製造施設の電力消費から生じます。間接排出量に実排出量を使えるのは規則(EU)2023/956付属書IV第6項の条件を満たす場合だけで、それ以外は消費した電力にデフォルト値を適用します。算定の共通ルールは体化排出量の算定方法で、検証はCBAMの検証で説明しています。


日本の炭素価格は肥料のCBAMコストを下げますか

2026年11月4日時点で、日本の炭素価格はEU CBAMの第9条で認められておらず、控除の実施規則も案の段階です。

第三国で支払われた炭素価格の控除(第9条)に関する実施規則案は2026年5月13日に公表され、2026年11月4日時点で未採択です。控除の対象は実際に支払われた炭素価格に限られ、リベートなどの補償は差し引かれます(第9条第1項)。欧州委員会の日本語ガイダンスは「排出量取引制度の場合、無償割当はリベートとみなされる」と説明しています。

日本の排出量取引制度(GX-ETS)は、2026年度(2026年4月から2027年3月)から直接排出量が前3年度平均で10万トン以上の事業者に義務化されましたが(経済産業省)、排出枠は無償割当です(ICAP)。地球温暖化対策のための税(CO2 1トン当たり289円、環境省)は上流で燃料に課され、施設の事業者が支払ったとみなされるかは未解決です。詳しくはCBAMの炭素価格控除とCBAMと日本をご覧ください。


肥料のCBAM CNコードに関するよくある質問

CBAMのアンモニアのCNコードは何ですか

CBAMでアンモニアを対象とするCNコードは、無水アンモニアの2814 10 00とアンモニア水の2814 20 00の2つです。どちらもCNの第28類に属し、規則(EU)2023/956付属書Iの項2814に含まれます。無水アンモニアのデフォルト値は、その他の国と地域の表で製品1トン当たり3.130 tCO2e、自国の表を持つ国ではより低く、エジプト2.050、日本2.190です。

CBAMの尿素のCNコードは何ですか

尿素は、CN第31類の項3102(付属書Iの対象)のうち、号3102 10(尿素(水溶液であるかないかを問わない。))に分類されます。その下に3102 10 12、3102 10 15、3102 10 19、3102 10 90の4つの8桁コードがあり、取引の中心である乾燥状態で窒素45%超の尿素は3102 10 19です。2026年第3四半期の価格82.32ユーロでは、デフォルト値で製品1トン当たりエジプト産43.17ユーロ、日本産53.98ユーロです。

第31類の肥料はすべてCBAMの対象ですか

すべてではありません。CBAMの対象は第31類の項3102と項3105で、3105 60 00(りん及びカリウムの2要素を含む肥料)は除かれます。動物性または植物性の肥料(項3101)、りん酸質肥料(項3103)、カリ質肥料(項3104)は付属書Iに記載がなく、CBAMの義務を生じません。ただし、錠剤状または総重量10kg以下の包装の第31類の物品は3105 10 00に分類され、対象になります。

CBAMの50トン基準は肥料の輸入にも適用されますか

適用されます。規則(EU)2025/2083により改正された規則(EU)2023/956第2a条の年間50トン基準は、電力と水素を除くすべてのCBAM部門と同じく、肥料の輸入にも適用されます。全製品の暦年の累積正味重量が50トン以下の輸入者は、認可と申告の義務を免除され、免除を税関申告で申告します。基準は1回の出荷ではなく、すべてのCNコードと原産国を合算した輸入者単位で判断します。

肥料の施用で出るN2OはCBAMの計算に含まれますか

含まれません。CBAMが対象とするのは製造段階の排出だけで、窒素肥料を農地に施用したときに土壌から出るN2Oは規則(EU)2023/956の対象外です。価格の対象になるのは、アンモニア合成のための天然ガス改質で出るCO2、尿素に取り込まれるプロセスCO2、硝酸の製造で出るN2Oです。施用後の排出は除かれます。

肥料の輸入者は他の部門とデフォルト値の扱いを変える必要がありますか

基本的な扱いは同じですが、マークアップの率が異なります。肥料のデフォルト値のマークアップは毎年1%で(実施規則(EU)2025/2621付属書I)、鉄鋼、セメント、アルミニウム、水素の2026年10%、2027年20%、2028年以降30%とは異なります。

マークアップは無償割当調整の前に加えられるため、デフォルト値を使う場合のコストは、デフォルト値に1%を上乗せした値から無償割当調整を差し引いた分になります。デフォルト値と施設の実排出量の差には1トンごとに証書価格が満額でかかるため、尿素や硝安を大量に輸入する事業者は、検証済みデータを使った場合の効果を確認することをおすすめします。

日本のNPK化成肥料はどのCNコードになりますか

窒素・りん・カリウムの3要素を含む日本の化成肥料は、乾燥状態の窒素含有量が10%超なら3105 20 10、10%以下なら3105 20 90です。日本のデフォルト値はそれぞれ製品1トン当たり1.000と0.690 tCO2eで、2026年のコストは48.31ユーロと31.77ユーロです(82.32ユーロ、デフォルト値)。総重量10kg以下の包装なら、成分にかかわらず3105 10 00になります。

日本の肥料メーカーにCBAMの義務はありますか

日本の肥料メーカーや商社に、CBAMの法的な義務はありません。CBAM証書の購入、申告、納付の義務は、EUの認可CBAM申告者(輸入者またはその間接的通関代理人)が負います。ただし、EUの買い手はデフォルト値を避けるために施設ごとの体化排出量のデータを求めるため、輸出者は事業者用ポータル(O3CI)への登録と検証の準備で取引上の優位を保てます。

肥料がCBAMの対象かどうかを確認する4つの手順

肥料の輸入がCBAMの義務を生じるかどうかを確認する4つの手順は、次のとおりです。

  1. 税関申告に記載する8桁のCNコードが、上記の付属書Iの5項目のいずれかに入ることを確認します
  2. 唯一の例外である3105 60 00を確認します。対象かどうかを決めるのは製品の窒素含有量ではなく、CNコードです
  3. 50トン基準を確認します。すべての部門のCBAM対象製品の年間合計が50トン以下であればCBAM申告書は不要で、免除を税関申告で申告します
  4. 原産国で実際に炭素価格が支払われたかを、規則(EU)2023/956第9条に照らして確認します。2026年11月4日時点で、炭素価格が認められた国はありません

ロシア、エジプト、アルジェリアから窒素肥料を輸入している事業者も、第9条による減額は見込めません。肥料の輸入者のCBAM対応には、認可、製品ごとの検証済みまたはデフォルトの排出量データ、2027年2月1日に始まるCBAM証書の購入(第20条第1項)が必要です。CBAM証書は設立地の加盟国が共通中央プラットフォームで販売します。輸入者向けの手順は肥料の輸入者のCBAM対応(英語)にあります。

ロシアとベラルーシ産の項3102とCNコード 3105 20、3105 30、3105 40、3105 51、3105 59、3105 90の肥料には、EUの追加関税が課されています(規則(EU)2025/1227)。2025年7月に1トン当たり40ユーロから45ユーロで始まり、2028年7月から315ユーロから430ユーロに上がります。この関税はCBAMのコストではありません。

EU域外の窒素肥料の生産者は、デフォルト値を下回る検証済みの実排出量を提供すれば、EUの輸入者が負担するCBAMコストを直接下げられます。そのため、エジプト、アルジェリア、トリニダード・トバゴなどの生産者は、デフォルト値より低い体化排出量を示せれば、具体的な競争上の優位を得られます。日本の生産者も、日本の表のデフォルト値を下回る実排出量を検証済みで示せば同じ効果が得られます。

デフォルト値の仕組みとマークアップの扱いはCBAMのデフォルト値で、日本の輸出者向けの値はCBAMのデフォルト値(輸出者向け)で説明しています。

貴社の製品とトン数での推計は、CBAM計算ツールで確認できます。規則(EU)2025/2621および2025/2620の公式デフォルト値とベンチマークに基づく推計です。拘束力のある数値は貴社のCBAM申告書に記載される数値です。算定や検証の支援事業者の紹介はCBAMの相談窓口から無料で依頼できます。


データ出典:規則 (EU) 2023/956 · 規則 (EU) 2025/2083(オムニバス)· 実施規則 2025/2621 · EEX経由のEU ETSデータ。法的助言ではありません。