CBAM 鉄鋼のCNコード一覧:第72類と第73類の対象・対象外と日本製品のコスト

CBAMの鉄鋼のCNコードを全項目で一覧にしました。

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CBAMの対象を項ごとに示した図。鉄鉱石はCNコード 2601 12 00のみ、第72類は7204(鉄くず)以外が対象で7202は3種の合金鉄のみ、第73類は7301から7311、7318、7326の13の項が対象です。

EU炭素国境調整措置(CBAM、JETROや欧州委員会の和訳では「炭素国境調整メカニズム」)の鉄鋼のCNコードは、「炭素国境調整メカニズム(CBAM)を規定する、2023年5月10日の欧州議会および理事会規則(EU)2023/956」の付属書Iにある15項目で決まります。15項目の内訳は、第72類全体(除外コードを除く28の項)の1項目、第73類の13の項、鉄鉱石のCNコード 2601 12 00の1項目です。

EUの鉄鋼輸入者は、CBAM申告書を提出し、必要なCBAM証書の数を計算する前に、出荷ごとのCNコードが対象リストに含まれるかを確認します。EUが2025年に日本から輸入したCBAM対象(付属書Iのコード)の鉄鋼製品は12億4,590万ユーロで、そのすべてが第72類と第73類のコードです(ユーロスタット(Eurostat)Comext DS-045409、2025年(2026年10月12日抽出))。

本ページでは、対象と対象外のコードの完全な一覧と、日本からの輸出額をコード別に示します。あわせて、CNコードがデフォルト値とベンチマークを通じて必要なCBAM証書の数をどう決めるかを、日本製品の計算例で説明します。

キャプション:規則(EU)2023/956付属書Iは、対象の鉄鋼製品を第72類(鉄鋼)と第73類(鉄鋼製品)に分けて定めています。


CBAMの鉄鋼CNコードとは何ですか

CBAMの鉄鋼CNコードとは、規則(EU)2023/956に基づき、2026年1月1日からEUへの輸入にCBAM証書の義務が生じる鉄鋼製品に割り当てられた、8桁の合同関税品目分類表(CN)のコードです。

CNコードによって、製品が対象かどうか、どのデフォルト値とCBAMベンチマークが適用されるかが決まります。鉄鋼の輸入者にとって、コードの確認はCBAM対応の最初の手順です。CBAMは、規則(EU)2023/956に基づき、EUの輸入者に対し、輸入品の体化排出量に応じたCBAM証書の購入と納付を求める、EU ETSの価格に連動した証書制度です。

証書の仕組み全体はEU CBAMの解説で説明しています。2027年からは、証書価格はEU ETSの排出枠のオークション終値の週平均に連動します(第21条第1項)。6分野の中で、鉄鋼のコードの一覧は最も長くなっています。鉄鋼は中間品から完成品まで多くの形状で取引され、形状ごとに8桁のコードが設けられているためです。


第72類(鉄鋼)のCBAM対象CNコード一覧

第72類では28の項がCBAMの対象で、鉄くず(7204)だけが項全体として対象外です。

第72類は、鉄鋼の一次形状、半製品、圧延製品、棒、線を含みます。次の表に、対象の28の項と対象外の1つの項を、EUの日本からの輸入額(2025年)とともに示します(Eurostat Comext、2025年)。

CNコード(項) 製品 CBAMの扱い 日本からのEU輸入(2025年、金額)
7201 銑鉄およびスピーゲル(塊状その他の一次形状) 対象 1,227ユーロ
7202 合金鉄(フェロマンガン、フェロクロム、フェロニッケルのみ) 対象(この3種のみ) 441万ユーロ
7203 鉄鉱石の直接還元により得た鉄製品(DRI) 対象 30万ユーロ
7204 鉄くず(鉄スクラップ) 対象外 対象外のため集計なし
7205 銑鉄、スピーゲル、鉄鋼の粒および粉 対象 982万ユーロ
7206 鉄および非合金鋼(インゴットその他の一次形状) 対象 83万ユーロ
7207 鉄または非合金鋼の半製品 対象 637万ユーロ
7208 鉄または非合金鋼のフラットロール製品(熱間圧延、幅600mm以上) 対象 2億1,673万ユーロ
7209 同(冷間圧延、幅600mm以上) 対象 1億1,888万ユーロ
7210 同(クラッド、めっき、被覆、幅600mm以上) 対象 9,436万ユーロ
7211 同(幅600mm未満、クラッド・めっき・被覆なし) 対象 98万ユーロ
7212 同(幅600mm未満、クラッド・めっき・被覆あり) 対象 890万ユーロ
7213 鉄または非合金鋼の棒(熱間圧延、不規則に巻いたもの) 対象 114万ユーロ
7214 鉄または非合金鋼のその他の棒 対象 28万ユーロ
7215 鉄または非合金鋼のその他の棒(さらに加工したもの) 対象 38万ユーロ
7216 鉄または非合金鋼の形鋼 対象 120万ユーロ
7217 鉄または非合金鋼の線 対象 996万ユーロ
7218 ステンレス鋼(インゴットその他の一次形状)、半製品 対象 5万ユーロ
7219 ステンレス鋼のフラットロール製品(幅600mm以上) 対象 2,524万ユーロ
7220 ステンレス鋼のフラットロール製品(幅600mm未満) 対象 5,098万ユーロ
7221 ステンレス鋼の棒(熱間圧延、不規則に巻いたもの) 対象 402万ユーロ
7222 ステンレス鋼のその他の棒および形鋼 対象 242万ユーロ
7223 ステンレス鋼の線 対象 814万ユーロ
7224 その他の合金鋼(インゴットその他の一次形状)、半製品 対象 8,025ユーロ
7225 その他の合金鋼のフラットロール製品(幅600mm以上、電磁鋼板を含む) 対象 1億7,762万ユーロ
7226 その他の合金鋼のフラットロール製品(幅600mm未満) 対象 1,248万ユーロ
7227 その他の合金鋼の棒(熱間圧延、不規則に巻いたもの) 対象 1,404万ユーロ
7228 その他の合金鋼のその他の棒および形鋼、中空ドリル棒 対象 1,018万ユーロ
7229 その他の合金鋼の線 対象 4,039万ユーロ

第7218項から第7223項はステンレス鋼、第7224項から第7229項はステンレス鋼以外の合金鋼です。第7202項の金額は、対象の3種の合金鉄のコードの合計です。

日本からの輸出は、熱延鋼板(7208)、電磁鋼板を含む合金鋼板(7225)、冷延鋼板(7209)、めっき鋼板(7210)の4つの項に集中しています。EU域外からの輸入に占める日本の割合(金額ベース)は、幅の狭い合金鋼板(7226)で13.73%、合金鋼線(7229)で12.24%、幅の狭いステンレス鋼板(7220)で11.85%で、日本はいずれのコードでもEUへの供給国の第3位です(Eurostat Comext、2025年)。

第72類で対象外となる10のコード群

付属書Iは、第72類のうち鉄くず(7204)と、3種を除くすべての合金鉄(7202の一部)を名指しで除外しています。

第72類で商業上最も重要な除外は、鉄くず(7204)です。スクラップはCBAM対象製品ではないため、スクラップの輸入者にCBAMの義務はありません。欧州委員会の川下製品への対象拡大の提案(COM(2025)989、法律ではありません)には、製造工程で出るスクラップ(プレコンシューマースクラップ)を、そのスクラップから作られる鋼の前駆体として扱う内容が含まれます。2026年10月20日の第1回三者協議(トリローグ)では、全体合意に至らなかったと報じられています。

付属書Iが第72類から除外するコード群は、次の10です。

除外されるCNコード 製品
7202 2(7202 21、7202 29) フェロシリコン
7202 30 00 フェロシリコマンガン
7202 50 00 フェロシリコクロム
7202 70 00 フェロモリブデン
7202 80 00 フェロタングステン、フェロシリコタングステン
7202 91 00 フェロチタン、フェロシリコチタン
7202 92 00 フェロバナジウム
7202 93 00 フェロニオブ
7202 99 その他(7202 99 10 フェロホスホル、7202 99 30 フェロシリコマグネシウム、7202 99 80 その他)
7204 鉄くず、再溶解用のくずインゴット

第7202項で対象になるのは、フェロマンガン(7202 11、7202 19)、フェロクロム(7202 41、7202 49)、フェロニッケル(7202 60)だけです。輸入者は、出荷ごとに8桁のコードを確認する必要があります。EUは2025年に日本からフェロマンガン(7202 19)を297万ユーロ(2,295トン)輸入しており、このコードで日本はEUへの供給国の第4位でした(Eurostat Comext、2025年)。スクラップの扱いの詳細はCBAMとスクラップの抜け穴をご覧ください。


第73類(鉄鋼製品)のCBAM対象CNコード一覧

第73類では、第7301項から第7326項までの26の項のうち13の項がCBAMの対象です。

第73類は、鉄鋼から作られた加工品と完成品を含みます。これらは川下製品で、材料の鋼から引き継いだ体化排出量を含みます。対象の13の項を、EUの日本からの輸入額(2025年)とともに次の表に示します(Eurostat Comext、2025年)。

CNコード(項) 製品 CBAMの扱い 日本からのEU輸入(2025年、金額)
7301 鋼矢板、溶接した形鋼 対象 2万ユーロ
7302 鉄道用または軌道用の線路建設資材(レール、まくら木、継目板など) 対象 8万ユーロ
7303 鋳鉄製の管および中空の形材 対象 4万ユーロ
7304 継目無鋼管および中空の形材 対象 5,737万ユーロ
7305 その他の鋼管(外径406.4mm超の溶接管など) 対象 344万ユーロ
7306 その他の管および中空の形材 対象 1,193万ユーロ
7307 管用継手(カップリング、エルボ、スリーブなど) 対象 2,782万ユーロ
7308 構造物およびその部分品(橋、塔、柱など) 対象 208万ユーロ
7309 貯蔵タンク、槽など(容量300リットル超) 対象 57万ユーロ
7310 タンク、ドラム、缶、箱など(容量300リットル以下) 対象 153万ユーロ
7311 圧縮ガス用または液化ガス用の容器 対象 64万ユーロ
7318 ねじ、ボルト、ナット、コーチスクリュー、リベットなど 対象 1億7,643万ユーロ
7326 その他の鉄鋼製品 対象 1億4,382万ユーロ

付属書Iは、第7312項から第7317項(より線、ロープ、有刺鉄線、鎖、くぎなど)と、第7319項から第7325項(針、ばね、ストーブ、家庭用品、衛生用品など)を掲げていません。これらの項の製品にCBAMの義務はありません。対象を「7301から7326まで」のような連続した範囲ととらえると、判定を誤ります。

2025年の日本からの第73類の輸出4億2,580万ユーロのうち、約75%をねじ・ボルト類(7318)とその他の鉄鋼製品(7326)の2つの項が占めます(Eurostat Comext、2025年)。7318は、経済産業省が「ねじ・ボルト等におけるEU-CBAM用算定ガイドライン 第3版」(2026年3月)を作成した製品でもあります。

キャプション:第73類のCBAM対象製品には、継目無鋼管(7304)、大径の溶接鋼管(7305)、構造物(7308)、圧力容器(7311)などが含まれます。


日本からEUへの鉄鋼輸出:製品グループ別の内訳

EUが2025年に日本から輸入したCBAM対象の鉄鋼製品12億4,590万ユーロのうち、65%は第72類の完成品、34%は第73類の製品です。

この数値は、鉄鉱石を除く第72類と第73類の付属書I製品の合計です。EU域外からの輸入に占める日本の割合は金額ベースで2.04%、数量ベースで1.40%、順位は金額ベースで第13位です(Eurostat Comext、2025年)。製品グループ別の内訳は次の表のとおりで、4つのグループを合計すると全体と一致します。

製品グループ 2025年の金額 2025年の数量 EU域外輸入に占める割合(金額/数量) 日本の順位(金額/数量)
第72類の完成品(7205、7208から7217、7219から7223、7225から7229) 8億810万ユーロ 74万8,767トン 3.19%/2.37% 10位/11位
第73類の製品(13の項) 4億2,580万ユーロ 5万1,354トン 1.58%/0.51% 11位/18位
粗鋼と半製品(7206、7207、7218、7224) 730万ユーロ 6,221トン 0.13%/0.06% 19位/20位
銑鉄・合金鉄・直接還元鉄(7201、7202の3種、7203) 470万ユーロ 2,881トン 0.15%/0.05% 28位/30位
合計(鉄鉱石を除く) 12億4,590万ユーロ 80万9,223トン 2.04%/1.40% 13位/16位

EUの日本からの凝結させた鉄鉱石(CNコード 2601 12 00)の輸入は、2025年はゼロ(2023年は13ユーロ)でした。日本の鉄鋼輸出は圧延製品と加工品が中心で、半製品や銑鉄はわずかです。そのため日本の輸出者にとって重要なのは、熱延コイルなどの前駆体の排出量が、冷延鋼板やボルトなどの川下製品の体化排出量にどう引き継がれるかです。

これらは貿易統計の数値で、CBAM申告の数値ではありません。2023年の22億1,790万ユーロから、金額で44%減っています。熱延鋼板(7208)の数量は、2023年の134万1,700トンから74%減りました。その一因とみられる反ダンピング関税(2025年9月26日)は、CBAMのコストとは別のものです。


CNコードがCBAM証書の数を決める仕組み

CNコードは体化排出量を直接決めるものではなく、輸入品に適用されるデフォルト値とCBAMベンチマークを決めるものです。

デフォルト値は、CNコードと原産国ごとに、実施規則(EU)2025/2621付属書I(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)に定められています。ベンチマークは、CNコードごとに実施規則(EU)2025/2620付属書第5.3項に定められています。炭素鋼のベンチマークには、高炉・転炉法(BF-BOF)、直接還元鉄(DRI)を使う電炉法、スクラップ電炉法の3つのルートの値があります。

熱延鋼板(CNコード 7208)のデフォルト値用ベンチマーク(Column B)は、高炉・転炉法で製品1トン当たり1.370 tCO2e(CO2換算トン)、DRIを使う電炉法で0.481 tCO2e、スクラップ電炉法で0.072 tCO2eです。半製品(CNコード 7207 11 14、7207 12 10)では、それぞれ1.364、0.475、0.066です。

EU域外の輸出者が第三者検証を受けた実排出量を提供できない場合、輸入者は製品と原産国に対応するデフォルト値を使います。その場合のベンチマークは、デフォルト値の表(付属書I)の該当行に記載されたルートで決まります。中国産スラブ(CNコード 7207 12 10)のデフォルト値は高炉・転炉法で3.169 tCO2eで、ベンチマーク1.364の2倍を超えます。このため中国の生産者には、検証済みのデータを提供する強い経済的な動機があります。

2026年第3四半期の公式価格(1 CO2換算トン当たり82.32ユーロ、2026年10月5日公表)で計算すると、デフォルト値による中国産スラブのコストは、無償割当調整の前で製品1トン当たり286.96ユーロです。デフォルト値にマークアップ10%を加えた3.4859 tCO2eからベンチマークの97.5%(1.3299 tCO2e)を差し引くと、製品1トン当たり2.1560枚のCBAM証書が残り、2026年の正味のコストは製品1トン当たり177.48ユーロになります。

正味のコストは年を追って上がります。2030年の輸入にはCBAM係数51.5%とマークアップ30%が適用されるため、価格とベンチマークを現在のまま置くと、同じスラブのコストは製品1トン当たり281.31ユーロになります。ベンチマークは2027年以降の輸入品について更新される可能性があります(実施規則(EU)2025/2620前文第10項)。

熱延コイル(7208)の体化排出量が、冷延鋼板(7209)やめっき鋼板(7210)などの川下製品に前駆体の排出量としてどう引き継がれるかは、CBAM 鉄鋼部門ガイドで説明しています。ベンチマークの全体はCBAM 鉄鋼ベンチマークをご覧ください。

日本産鉄鋼のCNコード別のデフォルト値とコスト

日本の熱延鋼板(CNコード 7208 51 20)は、デフォルト値で2026年に輸入すると、製品1トン当たり0.97425枚のCBAM証書が必要で、コストは製品1トン当たり80.20ユーロです。

計算は、2.100 × 1.10 = 2.310、無償割当調整 0.975 × 1.00 × 1.370 = 1.33575、差し引き製品1トン当たり0.97425枚のCBAM証書、2026年第3四半期の価格82.32ユーロで製品1トン当たり80.20ユーロです。日本の主な輸出品目について、同じ方法で計算した結果を次の表に示します。

製品(CNコード) 日本のデフォルト値(tCO2e/t) ルート ベンチマーク(Column B、2026年) 2026年の証書数(製品1トン当たり) 2026年のコスト(製品1トン当たり) 2030年のコスト(製品1トン当たり)
非合金銑鉄(7201 10 11) 1.960 記載なし 1.210 0.97625 80.36ユーロ 158.45ユーロ
フェロマンガン、炭素2%以下(7202 19 00) 5.590 記載なし 1.361 4.822025 396.95ユーロ 544.08ユーロ
フェロクロム、炭素4%以下(7202 49 10) 2.870(その他の国の値) 記載なし 1.142 2.04355 168.23ユーロ 260.25ユーロ
半製品(7207 11 14) 2.100 C 1.364 0.9801 80.68ユーロ 166.91ユーロ
熱延鋼板(7208 51 20) 2.100 C 1.370 0.97425 80.20ユーロ 166.65ユーロ
冷延鋼板(7209 16 90) 2.143 C 1.458 0.93575 77.03ユーロ 167.52ユーロ
めっき鋼板(7210 49 00) 2.130 C 1.491 0.889275 73.21ユーロ 164.73ユーロ
ステンレス鋼の熱延コイル(7219 11 00) 3.330 記載なし 1.189 2.503725 206.11ユーロ 307.57ユーロ
ステンレス鋼の冷延鋼板、幅600mm未満(7220 20 41) 3.360 記載なし 1.270 2.45775 202.32ユーロ 307.43ユーロ
方向性電磁鋼板(7225 11 00) 4.620 C 1.779 3.347475 275.56ユーロ 418.99ユーロ
無方向性電磁鋼板(7225 19 90) 3.530 C 1.488 2.4322 200.22ユーロ 314.68ユーロ
ラインパイプ用継目無鋼管(7304 19 10) 2.110 C 1.383 0.972575 80.06ユーロ 167.17ユーロ
構造物(7308 90 98) 2.950 C 1.491 1.791275 147.46ユーロ 252.49ユーロ
ボルト・ねじ(7318 15 42) 2.800 C 1.364 1.7501 144.07ユーロ 241.82ユーロ
その他の鉄鋼製品(7326 90 98) 2.130 C 1.491 0.889275 73.21ユーロ 164.73ユーロ

デフォルト値は実施規則(EU)2025/2621付属書I(実施規則(EU)2026/1740により差し替え)の日本の表の「総排出量」、ベンチマークは実施規則(EU)2025/2620付属書第5.3項のColumn Bの値です。2026年はマークアップ10%、CBAM係数97.5%、2030年はマークアップ30%、CBAM係数51.5%で、価格はいずれも82.32ユーロで一定としました。部門横断補正係数は2026年から2030年まで100%です(実施決定(EU)2026/1862)。2030年のステンレス鋼と合金鉄には2028年から2030年のベンチマーク(7219 11 00は1.151)を使いました。ベンチマークは2027年以降の輸入品について更新される可能性があるため、2030年の数値は目安です。計算は2026年11月4日に当サイトの計算ツールで行いました。

表から、日本の輸出者にとって重要な3つの点が読み取れます。

  • 同じ第72類でも、コストはコードによって5倍以上違います。 2026年のコストは、めっき鋼板(7210 49 00)の製品1トン当たり73.21ユーロから、フェロマンガン(7202 19 00)の396.95ユーロまで開きがあります。
  • ステンレス鋼と合金鉄の行には、ルートの記載がありません。 これらのコードには、ルートにかかわらず1つのベンチマークが適用されます。日本の炭素鋼の行はルートC(高炉・転炉法)のため、日本の電炉メーカーの製品も、検証済みの実排出量を提供するまでは高炉・転炉法のベンチマークで評価されます(電炉法(EAF)とCBAM)。
  • 日本の表に値のないコードには、「その他の国と地域」の値が適用されます。 日本の表では、フェロクロム(CNコード 7202 49)の行に値がなく(ダッシュ表示)、その他の国の値2.870が使われます。EUは2025年に日本からこのコードの製品を134万ユーロ(360トン)輸入しています(Eurostat Comext、2025年)。

貴社の製品とトン数に合わせた推計は、CBAM計算ツールで確認できます。規則(EU)2025/2621および2025/2620の公式デフォルト値とベンチマークに基づく推計です。拘束力のある数値は貴社のCBAM申告書に記載される数値です。

日本、韓国、中国のデフォルト値の比較(第73類とステンレス鋼)

第73類の構造物(7308 90 98)の日本のデフォルト値2.950 tCO2eは、韓国の3.864、中国の6.035を大きく下回ります。

加工の段階が多い製品ほど、国ごとのデフォルト値の差がコストに大きく表れます。同じCNコードを2026年にデフォルト値で輸入した場合の製品1トン当たりのコストを、次の表で比べます(価格82.32ユーロ、実施規則(EU)2025/2621および2025/2620、2026年11月4日計算)。

製品(CNコード) 日本 韓国 中国
構造物(7308 90 98):デフォルト値 2.950 3.864 6.035
構造物(7308 90 98):2026年のコスト 147.46ユーロ 230.22ユーロ 426.81ユーロ
ボルト・ねじ(7318 15 42):デフォルト値 2.800 3.474 6.375
ボルト・ねじ(7318 15 42):2026年のコスト 144.07ユーロ 205.10ユーロ 467.79ユーロ
ステンレス鋼の熱延コイル(7219 11 00):デフォルト値 3.330 3.630 5.580
ステンレス鋼の熱延コイル(7219 11 00):2026年のコスト 206.11ユーロ 233.27ユーロ 409.85ユーロ

中国産の構造物のデフォルト値6.035は、デフォルト値用ベンチマーク1.491の4倍を超えます。日本産のボルト・ねじは、中国産より製品1トン当たり323.72ユーロ低いコストで輸入できます。この差は、デフォルト値に頼る輸入者にとって、日本からの調達を続ける理由になります。


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日本の輸出統計品目番号(9桁)とEUのCNコード(8桁)の違い

CBAMの判定に使うのはEUのCNコード(8桁)で、日本の輸出申告に使う輸出統計品目番号(9桁)ではありません。

両者の上6桁は、世界税関機構(WCO)が定めるHS(統一システム)の番号で、共通です。EUのCNコードは、HSの6桁にEU独自の2桁を加えた8桁で、理事会規則(EEC)No 2658/87付属書Iに定められ、毎年改訂されます。日本の輸出統計品目番号は、HSの6桁に日本独自の3桁を加えた9桁です。

このため、日本の9桁の番号の7桁目以降から、EUのCNコードの7桁目と8桁目を導くことはできません。合金鉄(7202)のように、6桁や8桁の単位で対象と対象外が分かれる項では、この違いが重要です。たとえば、フェロクロムは対象、フェロシリコクロム(7202 50 00)は対象外です。

CBAMの対象となるCNコードは、EUの輸入者の税関申告に記載されるコードです。分類に迷う製品は、EUの輸入者が加盟国の税関に拘束的関税分類情報(BTI)を申請して確定できます(連合関税法典、規則(EU)No 952/2013第33条)。日本の輸出者は、インボイスや仕様書に製品の材質、寸法、加工の状態を明記し、EUの買い手と事前にCNコードをすり合わせておくと、適用するデフォルト値や提供すべきデータを取り違えずに済みます。


CNコードの実務確認:EUの鉄鋼輸入者が行う4つの手順

鉄鋼の出荷がCBAMの対象かどうかは、4つの手順で確認します。

認可CBAM申告者が輸入ごとに行う作業を、順番に並べると次のとおりです。

  1. 税関申告から8桁のCNコードを特定します。 単一行政書類(SAD)の第33欄、または連合関税法典(UCC)に基づく対応するデータ要素に記載されたコードです。
  2. コードが規則(EU)2023/956付属書Iの対象製品に当たるか確認します。 項全体が対象の項と、一部だけが対象の第7202項を区別します。
  3. 供給者の検証済みの実排出量を入手するか、CNコードと原産国に対応するデフォルト値を実施規則(EU)2025/2621で確認します。 デフォルト値では、付属書Iの行に記載されたルートによって、実施規則(EU)2025/2620のベンチマークが決まります。
  4. 質量(トン)と排出量から体化排出量を計算し、無償割当調整(CBAM係数×部門横断補正係数×ベンチマーク)を差し引きます。 そのうえで、原産国で実際に支払われた炭素価格があれば、規則(EU)2023/956第9条に基づいて調整します。

ただし第9条については、2026年11月4日時点で、第三国で支払われた炭素価格の控除に関する実施規則は、まだ案の段階です(実施規則案(未採択))。日本の排出量取引制度(GX-ETS)や地球温暖化対策のための税(温対税)を含め、どの国の炭素価格も認められていません(第9条の解説)。

日本の鉄鋼メーカーや商社には、CBAM上の法的な義務はありません。義務を負うのは、EUの輸入者またはその間接的通関代理人です。ただし、手順3で使う排出量のデータを用意するのは輸出者です。施設ごとに作成する排出量報告書のサマリー(16項目)の内容は、輸出者が提供すべきデータにまとめています。


第72類と第73類のすべての鉄鋼製品がCBAMの対象ですか

すべてが対象ではありません。第72類と第73類には、CBAMの対象外の項も含まれます。鉄くず(7204)は名指しで除外され、第73類の第7312項から第7317項と第7319項から第7325項は付属書Iに掲げられていません。第7202項は一部だけが対象で、フェロマンガン、フェロクロム、フェロニッケルは対象、その他の合金鉄は対象外です。第7326項は全体が対象です。輸入者は4桁の項だけでなく、8桁の単位で確認する必要があります。

第26類の鉄鉱石はCBAMの対象ですか

鉄鉱石では、1つのコードだけが対象です。CNコード 2601 12 00(凝結させた鉄鉱石およびその精鉱、焼いた硫化鉄鉱を除く。焼結鉱やペレットを含む)は、それ自体が付属書Iの製品で、輸入者は他のCBAM対象製品と同じように申告します。付属書IIに掲げられていないため、鉄鋼のコードの中で唯一、間接排出量も算入されます(第7条第1項)。

凝結させていない鉄鉱石(CNコード 2601 11 00)は対象外です。凝結させた鉄鉱石の体化排出量は、前駆体の排出量として銑鉄(7201)と直接還元鉄(7203)にも引き継がれます。

50トン基準は第73類の鉄鋼製品にも適用されますか

適用されます。規則(EU)2025/2083(CBAM簡素化規則)で改正された規則(EU)2023/956第2a条の50トン基準は、第72類と第73類のすべての鉄鋼のCNコードに適用されます。輸入者ごと、暦年ごとに、すべてのCNコードのCBAM対象製品の正味重量を合計するため、鉄鋼はセメント、アルミニウム、肥料と合算されます。

電力と水素を除き、輸入者ごとに暦年の累積正味重量が50トン以下であれば義務が免除されます(第2a条、付属書VII第1項)。免除は税関申告で申告する必要があります。詳しくはCBAMの50トン基準(英語)をご覧ください。

ステンレス鋼には単一の排出係数を使えますか

単一の排出係数はありません。デフォルト値を使う場合、第7218項から第7223項のステンレス鋼には、CNコードと原産国ごとに記載された値が適用され、日本の熱延コイル(7219 11 00)は3.330 tCO2eです。実施規則(EU)2025/2620のベンチマーク表には、ステンレス鋼のルート記号がありません。

ステンレス鋼の各コードには、期間ごとに1つのデフォルト値用ベンチマークがあり、たとえばCNコード 7219 11 00の熱延コイルは、2026年から2027年の生産年が1.189 tCO2e、2028年から2030年が1.151 tCO2eです。第7224項から第7229項のその他の合金鋼では、低合金鋼の高炉・転炉法、DRIを使う電炉法、スクラップ電炉法の値と、高合金鋼の値が分かれています。実排出量を使う場合は、施設の検証済みの排出量が適用されます。

第73類のCNコードはすべて同じ証書義務ですか

計算方法は対象のすべてのコードで同じです。製品1トン当たりの体化排出量から無償割当調整を差し引き、質量(トン)を掛け、さらに証書価格を掛けます。違うのは入力値です。第73類の製品は、上流のスラブやビレットと、その後の加工という複数の前駆体の段階の体化排出量を持つため、デフォルト値が高くなります。

中国産の鉄鋼構造物(第7308項)のデフォルト値は6.035 tCO2eで、デフォルト値用ベンチマークは1.491です。日本産は2.950です。第7308項の構造物のような複雑な加工品では、前駆体の排出量のマスバランスによる配分が、申告をさらに複雑にします。計算方法の詳細はCBAM鉄鋼の体化排出量の計算方法をご覧ください。

日本政府はCNコードの確認についてどのような資料を出していますか

経済産業省は「炭素国境調整措置」のページ(2026年6月1日更新)で概要と関連資料を公開しています。ただし同ページの規則改正の説明は2025年2月の提案段階の内容で、申告期限などは確定した規則(EU)2025/2083の内容と異なります。製品別の資料としては「ねじ・ボルト等におけるEU-CBAM用算定ガイドライン 第3版」(2026年3月)があり、CNコード 7318 15 42の2026年の証書数を1.750としており、本ページの計算(1.7501)と一致します。

JETROは2026年9月18日の記事で、日本の対EU向けCBAM関連製品の輸出額の大部分が、第72類(鉄鋼)、第73類(鉄鋼製品)、第76類(アルミニウムおよびその製品)で構成されると分析しています。ただし、法的な対象範囲は付属書Iに列挙された個別のCNコードで決まるため、確認は8桁の単位で行います。日本の状況全体はCBAMと日本にまとめています。

CNコードを確認できるその他の資料はありますか

CNコード検索ツール(英語)では、項や製品名で検索し、各コードのCBAMの扱い、生産ルート、デフォルト値の参照先を確認できます。全6分野の対象製品はCBAM対象製品の一覧にあります。

EUの輸入者の手続き全体は輸入者向けCBAM鉄鋼ガイド(英語)、日本の輸出者への影響は日本の鉄鋼輸出とEU CBAM、国別のデフォルト値はCBAMのデフォルト値をご覧ください。算定や検証の支援事業者の紹介はCBAMの相談窓口から無料で依頼できます。


データ出典:規則 (EU) 2023/956 · 規則 (EU) 2025/2083(オムニバス)· 実施規則 2025/2621 · EEX経由のEU ETSデータ。法的助言ではありません。